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2019-02-07 00:00
共産党参加の「選挙共闘」では政権を取れぬ
加藤 成一
元弁護士
今年は4月に統一地方選挙、7月に参議院選挙が予定されている。立憲民主党、国民民主党、共産党などの野党は、自公の参議院過半数割れを狙い、32ある参議院一人区での候補者一本化に向け、「選挙共闘」の協議を加速する構えであるが、現在のところ必ずしも順調とは言えないようである。立憲民主と国民民主の対抗意識や主導権争いもさることながら、最大の障碍は、共産党の旧態依然たる「共産主義イデオロギー」にあると筆者は考える。共産党は1991年のソ連崩壊で世界的にも共産主義体制が克服されたにもかかわらず、現在も党綱領でマルクス主義に基づく「社会主義・共産主義社会の実現」を提唱している。
すなわち、共産党は、基本理念として資本主義体制を打倒し、生産手段を社会化し、計画経済を行い、国(国家官僚)が経済を管理運営する共産主義体制の実現を目指している。のみならず、共産党は資本主義打倒の手段として、いわゆる「敵の出方論」を今も否定していないし、「プロレタリア独裁論」も放棄していない。さらに、基本政策として、外交安全保障では、日米安保条約廃棄、自衛隊解消、ミサイル防衛反対、抑止力・防衛力整備反対などを主張している。内政では、消費税反対、リニア中央新幹線建設反対、TPPイレブン反対、日欧EPA反対、などである。また、韓国「徴用工判決」を評価し韓国政府との補償交渉を主張している。
このように見てくると、基本的には「自由と民主主義」に基づく資本主義体制を肯定し、「敵の出方論」や「プロレタリア独裁論」に与せず、生産手段の社会化や計画経済に賛同せず、マルクス主義に基づく「社会主義・共産主義社会」を理想としない、立憲民主党や国民民主党と共産党はイデオロギー的には正に「水と油」であると言えよう。さらに、外交安全保障政策についても、日米安保、自衛隊、ミサイル防衛などで大きな違いがある。消費税、リニア新幹線など内政についても同様である。立憲民主も国民民主も、日韓請求権協定を無視した「徴用工判決」については厳しく批判している。
以上のように、基本理念と基本政策において共産党と立憲民主党、国民民主党との間に根本的な違いがあるにもかかわらず、これらの違いを一切無視して、ただひたすら選挙に勝つこと、安倍政権を打倒することだけを唯一の目的とした、共産党参加の「選挙共闘」は、憲政の常道を逸脱した邪道であると言う他ない。賢明な日本国民は、選挙に勝つためだけの「方便」としての共産党が参加した「選挙共闘」を決して評価も肯定もしないであろう。
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