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2019-02-01 00:00
(連載2)近年の中国の学生の変化
加藤 隆則
汕頭大学長江新聞與伝播学院教授
11月末の出来事だが、イタリアの高級ファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ(D&G)」が、上海で予定していたイベントのPR動画を流した。ところが、とうてい高級ブランドとは思えない、中国の箸文化を茶化すだけのできの悪い内容だった。中国のネット世論が非難を浴びせると、今度は同ブランドのデザイナー、ガッバーナ氏がインスタグラムで中国人を蔑む下品な差別発言を重ねた。
D&Gの低俗さが露見し、さすがにブランド好きの中国人セレブ達も愛想をつかした。中国人タレントが相次ぎD&Gとの決別を宣言し、ネットショッピングでも同ブランドは姿を消した。イタリア・ミラノのD&G店舗で中国人によるデモが起きたとのニュースが流れ、私は、中国でもショーウィンドーのガラスが割られるぐらいの事件は起きるだろうと予想した。なにしろ株が暴落しただけで、証券会社が投石を受けるお国柄なのだ。だが結局、D&Gたたきはネットの土俵にとどまり、破壊活動など場外乱闘には発展しなかった。
中国の台頭、海外進出に伴い、各国との摩擦もしばしば起きている。昨年9月にはスウェーデンの首都ストックホルムで、警官にホテルから排除された中国人観光客が過剰に反応し、国内の民族感情を刺激して外交問題に発展したばかりだ。中国人に対する偏見や差別的行為はすべて「辱華事件」とレッテルを張られ、たちどころに炎上するほど、中国のネット世論はデリケートになっている。
だが、よくよく考えれば、かつてのような過激な行動がみられないことに気づく。むしろ現地のルールを守らない、中国人観光客の身勝手な振る舞いを反省する声が少なくない。悪意に満ちた一部の中国メディアはがいくら民族感情を刺激しようと、それをストップさせる冷めた目が育っている。メディア関連の授業でも学生が「辱華事件」を取り上げる。民族主義的論調で人気を集める人民日報系メディア『環球時報』が、学生の世論分析の中でしばしば取り上げられるが、彼ら、彼女らはたいてい冷めた、批判的な視点に立っている。「辱華事件」の背後に、『環球時報』の意図的な世論操作の影がうかがえることを見逃していない。過剰な愛国主義がかえって世界との軋轢を生むばかりでなく、中国人こそ他国に対する偏見を強く持っているのではないか、と堂々と指摘する学生もいる。やはり何かが変わってきているとしか思えない。(おわり)
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