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2007-04-30 00:00
東アジア共同体に対するASEANの姿勢
山下 英次
大阪市立大学大学院教授
4月26-27日に、ASEAN40周年と「ASEAN+3」10周年を記念して、『ASEANの発展と東アジア協力』と題する国際会議が上海国際問題研究所(SIIS)の主催により上海の錦江飯店(Jin-jiang Hotel)で開催され、私もスピーカーとして出席する機会を得た。いきなり余談になるが、この錦江飯店は、いまは上海には超高級ホテルがたくさんできているので、それほどたいした存在ではなくなっているが、1972年2月の「上海コミュニケ」の際、ニクソン大統領一行の宿泊先とされたところであり、かつては上海の最高級ホテルであった。
今回のSIISの国際会議では、ASEAN事務局長のオン・ケン・ヨン(ONG Keng Yong)が基調講演を行ったが、その中で、私にとっては少々意外な発言があった。基調講演後、中国社会科学院アジア太平洋研究所の張所長の「ASEANにとって東アジア共同体は本当に必要なものか」という問いに対し、オン事務局長は「何かあれば良いもの」(”something nice to have”)であって、「なければならないもの」(”must have”)ではないと答えた。そして「つまり東アジア共同体は、ASEANにとってセカンド・カーのようなものだ」とも表現したのである。
私は、日頃、この種の会議に出てくるASEANの専門家と接しているが、彼らを通じて受ける印象は、東アジア共同体は、彼らにとってもっと「なければならないもの」に近いものだと認識していると感じていたので、少し意外であり、また少々失望した。中国のリーダーシップが突出することを警戒するASEANとしては、足元を見られないように、あえて控えめに表現したのかもしれないし、また、オン氏は、元々コスモポリタン的な国家でもあるシンガポールの外交官なので、他のASEAN諸国の人たちとは考え方が少し違うのかもしれない。
いずれにせよ、オン氏のASEAN事務局長の任期(5年)は、今年末に終了する。事務局長は、参加国のアルファベット順にローテートする決まりになっているので、後任は、タイから選出される。すでに何人かの名前が候補に挙がっており、そのうちの一人がスリン元外相だといわれる。確かに、スリン氏はかなり有能そうに見えるが、他方「ワシントンの大のお気に入り」でもあるという。ワシントンのお気に入りに、アジア地域統合の一端を担う要職に就いてもらうことについては、私としては個人的にかなりの抵抗があるが、オン氏によれば「ASEANでは、結局のところ重要な問題はすべて首脳会議に委ねられる」という。いずれにせよ、ASEAN事務局長人事は、今年の注目点のひとつではある。ちなみに、オン氏の前任者は、元フィリピン外務次官のロドルフォ・セベリーノ氏であった。
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