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2019-01-29 00:00
(連載1)ゴーン事件と日本の司法制度批判
倉西 雅子
政治学者
日産のカルロス・ゴーン元会長が特別背任の罪で起訴された一件は、諸外国のメディアでは、事件そのものよりも日本国の司法制度の「特異性」に焦点を当てた報道が目立つそうです。拘留期間が長期に亘り、弁護士の隣席なき取り調べを認める日本国の司法制度は、さながら中世の如くに非人道的ですらあると…。
日本国内でもこうした批判に同調し、日本国の司法制度は遅れており、グローバル・スタンダードに合わせるべく早期に改革すべきとの声も聞かれます。しかしながら、グローバル・スタンダードは、必ずしも「最善」とは限らないという問題があります。多数決が常に正しく「最善」とは限らないように。
拘留期間の長さにつきましては、日本国の司法制度では、検察官が有罪を凡そ100%確信した事件しか起訴しないという特徴があります。拘留期間が長期に及ぶのも、検察側が有罪を立証できる証拠を殆ど固めていることによります。一方、アメリカやフランスなどの諸国では、有罪の可能性が高い時点で起訴に踏み切りますので、その分、容疑者に対する待遇は緩くなります。米欧諸国の制度をグローバル・スタンダードと見なすとしますと、日本の検察は、起訴の判断基準を緩和する、即ち、疑わしい段階で積極的に容疑者を起訴することとなりますが、果たして、両者どちらの方法が「最善」なのでしょうか。
特にゴーン事件は、いわば「グローバル犯罪」とでも称すべき国境を越えた国際事件です。容疑者本人の国籍だけでもフランス、レバノン、並びにブラジルの3ヶ国に及び、かつ、日産本社の所在地である日本国のみならず、ルノー本社のあるフランス、連合の統括機関が置かれているオランダなどの複数の諸国が「事件の現場」でもあるのです。さらに個人的な人脈を加えれば、遠くサウジアラビア等にまで捜査対象が広がります。かくも複雑を極めるこの事件の全貌を解明するためには、検察側が、取り調べのために容疑者の長期拘留を求めるのも理解に難くありません。否、早期に釈放しますと、ゴーン容疑者がこれらのルートを巧みに利用して、逃亡や証拠隠滅等の行動をとらないとも限らないのです。(つづく)
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