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2019-01-21 00:00
(連載1)「祖流我放」ファーウェイを巡る仁義なき戦い
加藤 隆則
汕頭大学長江新聞與伝播学院教授
中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)の孟晩舟副会長がカナダで逮捕されたのに続き、今度は中国で元外交官、マイケル・コブリグ氏らカナダ人2人が中国で拘束された。ハイテクと経済の覇権をめぐるパワー・ゲームなのだから、最後はハード、ソフトの力関係と体面の保持、そして利害の計算に基づく駆け引きで落としどころを見つけるしかない。ビジネスマンのトランプ米大統領と、革命世代の正統を引き継ぐ「紅二代」習近平中国国家主席の対決は、ますます米中二大国時代の幕開けを物語って興味が尽きない。
もし米国に法の正義があって、独裁国家の中国には理がないと考えている日本人がいたら、早く目を覚ました方がいい。そんな単純な図式で割り切れるほど、世界の政治は明快ではない。はっきり言えば、両国のトップでさえ見通しがきかないほど、利害得失が複雑に絡み合っているに違いない。普遍的な司法の独立と正義が教科書通り存在している、と素朴に信じているのは、もしかすると日本人だけかも知れない。米国は民主的で、中国には人権がないというステレオタイプも、まずは日本の社会がどれほど民主主義からほど遠く、言論の自由に実質が伴っていないかを想起することで、いかようにも修正の余地がある。
今回のファーウェイ事件に限っては、どうみてもトランプ側の分が悪い。かりに違法行為の証拠があったとしても、なぜファーウェイだけが狙い撃ちにされるのか、似たような容疑は米国企業にも指摘されているのではないか、説得力のある説明ができない。権力を使って、トランプ氏が口にするところの“国家利益”をゴリ押ししようとする横暴さしか目に入ってこない。
2010年、日本の海上保安庁が尖閣諸島付近で操業中だった中国漁船の船長を逮捕し、その報復として、中国側がゼネコン・フジタの社員4人を「軍事管理区域の違法撮影」で拘束した事件が思い起こされる。当時、「国民への影響と今後の日中関係を考慮すると、これ以上、身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でない」と起訴猶予処分が発表され、船長は釈放された。簡単に言えば、人質の交換で手打ちをしたわけだ。逮捕に踏み切ったことが行き過ぎだったと白旗をあげたに等しいが、真相はうやむやのまま放置された。(つづく)
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