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2018-12-11 00:00
(連載1)清華大学による巨額投資について
倉西 雅子
政治学者
12月6日付の日経新聞朝刊の一面には、思わず深いため息をついてしまう記事が掲載されておりました。それは、中国の清華大学が、日本国の東京大学が設立したスタートアップ支援会社に対して650億もの巨額投資を行うというものです。この記事が事実であれば、日本国にとりましては、近い将来、まことに忌々しき問題が生じることになりそうです。
清華大学の巨額投資先となる東京大学協創プラットフォーム開発株式会社とは、東大が100%出資して設立したVC(ベンチャーキャピタル)です。同社設立時にあって、東大が230億円を拠出しており、その原資は、平成24年度(2012年度)予算として政府が東京大に交付した417億円だそうです。一方の清華大学側も、VCとしてTSUホールディングスを設立しており、同社が提携先となります。東大側の拠出額である230億と比較しますと、清華大学の出資額の高さには驚かされます。およそ東大の3倍なのですから。そして、精華大学もまた国立大学ですので、拠出される650億円にも中国政府の予算が注ぎ込まれていることでしょう。
それでは、精華大学による巨額投資の行く末には、どのような事態が予測されるのでしょうか。東京大学協創プラットフォーム開発の資本金9000万円は東大の100%出資ですので、清華大学から650億円の投資を受けても運営権は東大側が握っているように見えます。しかしながら、650億円を拠出しながら、清華大学、否、中国政府が‘何らの見返りをも要求しない’ということは過去の事例に照らしてもあり得ません。外貨準備が減少傾向にある中、中国が650億円もの出資を決定した背景には(人民元で拠出?)、中国に有利となる何らかの計算があるとしか考えられないのです。TSUホールディングスは、11月末に東京大学協創プラットフォーム開発に事務所を開設しておりますので、NHK社屋内の中国電子台の如く、既に内部化している様子も窺えるのです。
中国側の第1の利益は、融資先のベンチャービジネスが成功を収めた場合に期待できる一定のリターンです。経済的な利益は最もドライな関係として理解できるものの、それでも、融資収益は一般的に拠出額に比例して配分されますので、東大と清華大学との間で1:3の割合で分けられることとなります。つまり、同社の利益の4分の3は中国側に流れ、日本初の技術や技術革新であっても、中国側がより多くの果実を得る結果となるのです。その一方で、融資に失敗して損失が生じた場合、東大側は、清華大学に対してそれを甘受するよう求めることができるのでしょうか…。もしかしますと、一帯一路構想で露見しているように、借金の形に虎の子の知的財産権を要求される可能性も否定はできません。(つづく)
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