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2007-04-27 00:00
連載投稿(2)北朝鮮の最終的国家目標と核兵器開発
武貞 秀士
防衛省防衛研究所統括研究官
バンコ・デルタ・アジアにある北朝鮮関連口座の資金のゆくえがどうなるかは予断を許さない。しかし、そのことよりも重要であるのは、北朝鮮が核関連施設を放棄する戦略的決断をすれば、米国、日本との関係改善が進んで、さらに多くの支援が得られるのに、戦略決断をしないまま時間がすぎていることだ。北朝鮮が「核放棄と引き換えに大幅支援を得たい」と戦略的決断をしない理由を考えるときがきている。
1994年10月、米国と北朝鮮は、枠組み合意(ジュネーブ合意)に署名して、北朝鮮の核開発問題解決のための方向が定まったかに見えた。しかし、その後、北朝鮮は弾道ミサイルの発射実験を繰り返して、2006年7月5日、テポドン2号の試射をし、ついに10月9日、核実験を敢行した。その後も核抑止力保持の必要を主張しつづけて、いまや、北朝鮮には確固とした核保有の意思があるように見える。
北朝鮮が大量破壊兵器開発に関心を持ったことについては、これまでには、様々な説明があった。例えば、朝鮮戦争で米国が核使用を示唆したことで恐怖を抱いた北朝鮮が核開発を考えたのが最初であるという説明がある。あるいは、もともと日本が戦前にウラン鉱山を開発した施設が北朝鮮に残っており、50年代から北朝鮮はウラン濃縮には関心があったという見方がある。北朝鮮が韓国に対して通常戦力で遅れを取り始めたことが原因であるという指摘もある。経済的動機も大量破壊兵器開発の狙いのひとつである。中東やパキスタンに対して経済的動機からミサイルを販売してきたことは知られている。対米関係、南北軍事バランス、経済事情など、北朝鮮の大量破壊兵器開発には、複合した要因、背景と狙いがあることは間違いない。
ただ、北朝鮮の核兵器開発問題を考えるときに重要なことは、北朝鮮が一貫して追求してきた国家目標はなにかを考えることである。北朝鮮の目標は「北朝鮮の体制を温存したまま、朝鮮半島の統一すること」であるから、「朝鮮半島を北朝鮮主導で統一する」という目的と、核兵器開発がどのような関係にあるのかという視点が重要になる。韓国に対する軍事的優位の回復を北朝鮮がどう計算し、朝鮮半島有事における米国の介入を阻止するシナリオを北朝鮮がどう考えているかということである。(つづく)
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