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2007-04-26 00:00
連載投稿(1)朝鮮半島情勢のゆくえ―南北関係だけが進む
武貞 秀士
防衛省防衛研究所統括研究官
2月13日、北京の6か国協議合意で、エネルギー支援と引き換えに北朝鮮の核施設の解体を行うための合意が成立した。その後、5つの作業部会が開催されて、核問題を外交的に解決する努力が始まったが、核施設の稼働停止までにはいたっていない。米財務省は北朝鮮の違法な取引に関連する金融資産に対して厳格な姿勢を崩さない。米国務省は米朝協議の場で高濃縮ウラン型核兵器開発疑惑の白黒をつける構えで、米朝関係のゆくえを楽観することはできない。日朝関係は冷えきったままである。
いっぽう、南北協力は急進展している。4月22日、平壌での南北経済協力委員会が終わり、合意文を採択した。そこで、韓国が北朝鮮にコメ40万トンの支援を5月末から開始すること、南北縦断鉄道の試運転列車の運行を5月17日に実施することで合意し、南北実務協議を4月27、28日に開城で行うことが決まった。列車試運転が行われた場合、6月以降、韓国が北朝鮮に軽工業の材料を供給し、北朝鮮は地下資源の共同開発のための現地調査を6月中に行うことになっている。その他に、南北首脳会談後7年目である6月15日の行事、朝鮮半島の解放記念日である8月15日の行事など、さまざまな南北交流の日程が組まれており、今年の秋まで南北交流の日程が詰まっている。それらの日程の中には、協議が中断される可能性があるものがあるが、韓国は南北間で予定されているものを、6カ国協議合意のプロセスと切り離して進めてゆく考えであるで、全体として南北協力関係は進んで行く。
6か国協議の合意実施プロセスは一進一退であるが、韓国は北朝鮮支援を人道的観点から進めて行く考えである。そこには、韓国の「北朝鮮核問題で、ようやく米国からイニシアチブを取り戻し、北朝鮮の地下資源開発では、中国に対する遅れを取り戻すことができる」という思いを読み取ることができよう。韓国の「自尊心」と「恨」という視点で朝鮮半島の動きを見ると、南北交流だけが進んでいる理由がわかる。「日本を除く5か国が北朝鮮核開発問題解決に向けて協力をはじめたのに、日本だけが取り残された」という説明があるが、むしろ、複雑な構造のなかで、南北協力だけが進んでいるのを、じっくりと日本は見守っているのである。(つづく)
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