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2018-11-01 00:00
安倍総理訪中から考える
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
安倍総理の訪中が終わった。この訪中について論じると、10月30日付けの姉妹政策掲示板「百花斉放」に掲載された杉浦正章氏の「中国の対日大接近は『強国路線』の一環」の結論「安倍は日米同盟関係を維持しながら、対中関係改善で経済的利益を最大化するという、サーカスでの“空中ブランコ”を演じなければならないのである」に尽きるであろう。いつもながらの杉浦氏の分かりやすい、しかし中心をぐさりとさす筆力には感心する。プロ野球の選手に挑む少年野球のつもりで、思うところを述べたい。
今回の総理訪中では、日本から多くの財界人が参加し、第三国での中国の推進する一帯一路への日本の協力をはじめとする52案件以上の調印がなされた、一方、歴史問題、尖閣問題などには言及されなかったとの一部の非難もある。この「歴史問題」について、一言述べると、日本はこれからも百年、二百年とこの問題を抱えて過ごさなければならないということだ。日本人は、何でもきれいさっぱりとしたい習性があるが、世界ではそれでは生きてゆけないのだ。中国が、これからも国内問題から国民の目を逸らすために常に利用してくることを覚悟しなければならないのだ。総理の訪中直前の10月25日の中国の国際紙「環球時報」の社説では、「歴史問題ではずっと先鋭化し、敏感さも増し、不正常な方向に発展したが、これは日本の右の輩が故意に挑発したもので、かれらは悪びれることがない」と述べている。面白いと思ったのは、次の部分で、中国の対日融和態度の狙いだろうと思われる。「中国の人々は、日本には技術革新から緻密な管理に至る、我が国が学ぶべきものがたくさんあることに気づく」だ。森本元防衛大臣が雑誌で述べているが、米はいま中国の軍事産業に寄与する技術などの日本から中国への移転に神経を尖らせているようだ。経済界の人間は、かって東芝機械のココム違反事件で、東芝グループがいかに苦しんだか思い起こすべきだ。
「日中関係は、日米関係だ」と喝破したのは、戦前の国際ジャーナリスト松本重治氏だが。現在においてもそうだ。ペンス副大統領のハドソン研究所における10月4日の演説につき、知人の米学者が解説してくれたところでは、「副大統領は『中国がいわゆる屈辱の世紀において、怒り苦しんでいるとき、米は中国のために戦った』と述べているが、米が1844年中国と結んだ望夏条約の内容は、アヘン戦争で敗北した中国が仕方なく英国と締結した関税自主権なし治外法権アリの不平等条約内容をなぞるものであり、今の米政権の知性のなさに悲観していた。また、同副大統領は『米国人宣教師が中国へ福音を伝えた』『信仰を広めただけでなく、中国に初めての一流大学など設立し(文化面でも寄与した)』など述べている。今の政権は、サウジに劣らぬ、宗教国家になるのか」と、怒っていた。
彼によると、米のプロテスタントの福音派の一部は中国でのキリスト教普及に熱心で、現在の中国でのキリスト教信者数は公的、地下信者を合わせ1億人以上といわれその9割がプロテスタント信者とのことだ。ちなみに韓国の信者は1300万人以上で、仏教徒の数より多く、日本は2016年の数字で190万人で極めて少なく、今のトランプ政権の見方からすると「異質な社会」と見えるそうだ。韓国の徴用工判決につき今日本では怒りが充満している。韓国相手にするなとの声も大きい。しかし、日本はこうした重荷を背負い、それでもしたたかに生きてゆくべきだ。戦前の日本のように、じり貧より、どか貧がよいのだと、単細胞的に真珠湾へ突っ込んでいった轍は踏んではいけない。この問題は今後、議論の戦場が米国に移る可能性の見方もあることを念頭に置かねばならない。米の世論に訴えるとともに在米日本企業から金をむしりとろうとの狙いからだ。松本重治氏の名言、「(日韓)日中の問題の主戦場は米国だ」ということを常に忘れてはいけない。
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