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2018-10-17 00:00
(連載1)日本はガチンコ外交に備えよ
岡本 裕明
海外事業経営者
トランプ大統領と習近平国家主席の貿易戦争、英国離脱を巡るEUと英国の綱渡りの交渉、カナダとアメリカのNAFTA交渉、更には北朝鮮と韓国の南北和平に向けた交渉など今、世界各地でガチンコ外交やガチンコ通商交渉が行われています。これらの交渉は国家の将来に大きな影響を及ぼす重大な決定事項であり、その交渉の一つひとつの過程で完璧なステップを踏んでいかないと勝利には結びつかないものです。また、各国の情報部が様々な侵入調査を行い、相手の手の内を探りながら弱点を突いていく、というのも常套手段です。
日本の外交交渉はどうでしょうか?先週行われた国際捕鯨委員会総会では日本が求めていた商業捕鯨一部再開等の提案が否決されました。直後の報道には国際捕鯨委員会の脱退もありうるというトーンの記事が散見できました。あるいは国連のユネスコ関連においては世界記憶遺産を巡り南京事件の資料の登録で嫌な思いをしたばかりなのに昨年末に「慰安婦関連資料」の登録の動きがあり、報道ではそんなことになればユネスコ脱退もやむなし、と大きく論じられていました。
「脱退」という表現は私にはあまり芳しくない響きがあります。大戦中、日本は国際連盟脱退を国家として苦渋の決定しました。それを受けて、国連会議で日本代表の松岡洋祐が1時間近い大独演を行うものの他の国から賛同を得られず、その会議を中座して脱退した「事件」がトラウマのように頭をよぎるからです。トラウマというのは普通自分がやった行為に対するものだと思います。私がこの「事件」を大学生の時に学び、その後、松岡洋祐研究をし、戦前外交史を学び、海外に住み、日本の外交を比較的間近に感じることが多かった中で「脱退」というカードは切り方を間違えると「終わり」になる、ということをまざまざと見せつけられたことが大きかったのであります。
日本語の「脱退」とは縁を切るという意味であり、将来の没交渉を意味します。他国も脱退はよくあります。アメリカやイスラエルはユネスコを脱退していますし、ノルウェーやアイスランドは国際捕鯨委員会に入っておらず、正々堂々と捕鯨をしています。日本は一方で、調査捕鯨と称してその調査後の鯨肉を市販しているという「狡い」やり方をしています。言い換えればひどい敵を作らないよう最善の努力を施しながら丸く収めるやり方とも言えるでしょう。アメリカ、イスラエル、ノルウェーは脱退していることを逆手に利用し、相手方からの再交渉を引き出す土壌を作っており、いつまでも好き勝手にするという意味ではないのです。(つづく)
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