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2018-10-12 00:00
(連載2)中国人ICPO総裁失踪事件について
倉西 雅子
政治学者
第3の矛盾点は、仮に中国政府による孟宏偉総裁の拘留が、その不当性において国家レベルの犯罪を構成するものであっても、誰も救い出すことができないことです。ICPOと雖も、中国の国家主権を前にしては捜査権を及ぼすことはできず、中国政府の為すに任せるしかないのです。警察組織であっても警察活動ができないという矛盾は、政治犯が存在する国の不条理を物語っており、中国が、人々の基本権を等しく保障することを旨とする現代国家ではない証左ともなりましょう。
そして、第4の矛盾点は、同総裁の失踪の真の原因が、中国共産党内部の権力闘争でも、刑法上の汚職でもなく、ICPOの方針に対する中国政府による反対の意思表示であった場合に生じます。これまでも、中国は、国家ぐるみで他国に対してサイバー攻撃やテロ支援を行ってきたとする指摘があります。また、麻薬密売、臓器売買、人身売買、海賊版の製造・販売などの犯罪に関しても、共産党幹部の利権とする見方もあります。
孟宏偉総裁が、組織トップとしてこうした犯罪に対する国際的取り締まりの強化に動いていたとしますと、中国政府は、同氏を脅迫してでもこの政策方針を阻止しようとしたかもしれません。憶測の域はでないものの、同総裁は、ICPOと出身国中国との間の板挟みとなり、この解き難い矛盾に苦しんでいたのかもしれないのです。
以上に矛盾点を述べてきましたが、この耳目を驚かす失踪事件、同総裁が中国出身であるが故に迷宮入りとなるのでしょうか。真相が闇に葬られるとしますと、それは、中国自身が魑魅魍魎が蠢く暗黒大陸である現実を浮き上がらせることになるのではないかと思うのです。(おわり)
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