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2018-09-28 00:00
伊方原発再稼働容認の広島高裁決定は妥当
加藤 成一
元弁護士
広島高裁は、9月25日四国電力伊方原発3号機の運転を差し止めた2017年12月13日の原審広島高裁の仮処分決定を不服とする四国電力側申し立ての異議審で、「原発の運転による具体的危険性はない」との理由で異議を認め、仮処分を取り消す決定をした。原審仮処分決定は「9万年前に九州中部で起きた大規模噴火による火砕流が130キロ離れた伊方原発に到達する可能性は小さいとは言えず、原発の立地に不適切」との理由で、原発の運転を差し止めていた。
異議審で四国電力側は、「原発運転期間中に大規模な火砕流を発生させる巨大噴火が起きる可能性は低い」と主張し、原発による被害発生の危険性を否定した。広島高裁は、「大規模噴火の可能性の大小を推定することは困難である」としつつも、破局的な噴火を想定した法律やインフラの整備はされていないこと、国民の大多数が問題にしていないことから、「低頻度の壊滅的被害をもたらす事象は具体的危険とは認めないのが社会通念であり、原発の運転期間中に破局的噴火が発生する可能性が相応の根拠をもって示されない限り、これを前提に原発の立地が不適切とすることはできない」と認定して、原審仮処分決定を取り消し、再稼働を認める決定をした。
極めて合理的且つ常識的で妥当な決定であると言えよう。現在の火山学によれば、火山噴火の爆発規模を示す世界共通指標の火山爆発指数(VEI)は、0~8の9段階あり、9万年前に九州中部で発生した破局的噴火は「7」に該当し、日本では「7」以上の破局的噴火は1万年に一回程度起きているとされる。すなわち、一万年に一回程度の破局的噴火のリスクをどう評価するかが本件の最大の争点である。一万年に一回のリスクに備えて、あらゆるインフラを整備し、万全の備えをすることまでは、社会通念上要求されてはいないであろう。原発の立地についても同様であろう。しかも原発の稼働期間は通常40年に過ぎないのである。その意味で、一万年に一回の破局的噴火の発生可能性に基づく原発の危険性を理由として運転差し止めを認めた原審仮処分決定は、極めて非合理的且つ社会通念に反する不当な決定であったと言わざるを得ない。
弁護団は今回の広島高裁の決定に対しても、例によって、最高裁に不服申し立て(特別抗告または許可抗告)をしない方針を示しているが、広島高裁の決定が不当であり、弁護団の主張が正当であると確信するならば、正々堂々と最高裁に不服申し立てをすべきである。そして、一万年に一回程度発生の破局的噴火の危険性に対する評価を含め、最高裁において最終的判断がされるべきである。原発の安全性に関する最終的司法判断は日本国民全体にとって極めて重要であり、いやしくも弁護団の都合によって決して左右されてはならないのである。
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