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2018-09-15 00:00
(連載2)共産党は憲法体制と矛盾しないか?
加藤 成一
元弁護士
日本共産党を除く野党の中で「敵の出方論」を主張し、これを肯定する政党などは一切存在しない。今も「敵の出方論」すなわち実質的には「暴力革命」を明確に否定も放棄もしない政党は、日本共産党だけであり、このような日本共産党の存在は議会制民主主義に基づき選挙による政権交代のみを認める日本国憲法体制とは矛盾するのではないか。
のみならず、マルクス・レーニン主義は、「プロレタリアート独裁」を極めて重要な原則としている。マルクスは「資本主義社会と共産主義社会の過渡期の国家はプロレタリアートの革命的独裁以外には存在しえない。」(マルクス著『ゴーダ綱領批判』)と述べ、レーニンも「共産主義への発展は、プロレタリアートの独裁を通じて行われるのであって、それ以外の進み方はあり得ない。プロレタリアートの独裁は、抑圧者、搾取者、資本家に対して、彼らを抑圧し、彼らの反抗を暴力で打ち砕かなければならない。暴力のあるところに自由がなく、民主主義がないことは明らかである。」と述べている。要するに、プロレタリアート独裁とは社会主義・共産主義革命を実現するために、これに反対し反抗する反動勢力や反革命分子を独裁権力による暴力で打倒するということである。
旧ソ連や中国などの社会主義国家を見ても、プロレタリアート独裁の実態は共産党の一党独裁であり、共産党に反対することは絶対に許されないのである。日本共産党は今もプロレタリアート独裁の概念を放棄していない。「綱領」では「社会主義をめざす権力」(十六)と規定している。宮本元議長は「プロレタリア独裁を確立することなしには、社会主義的変革と社会主義建設の任務を全面的に遂行することはできない。」と述べ、不破前議長も「社会主義日本では、労働者階級の権力すなわちプロレタリアート独裁が樹立されなければならない。」と述べている。このように、日本共産党は、今もマルクス・レーニン主義に立脚し、「敵の出方論」に基づく「暴力革命」と「プロレタリアート独裁」の概念を否定も放棄もしていない。
日本共産党が今後も「野党共闘」において重要な役割を果たそうとするならば、「共産主義の実現」を党是とし、「科学的社会主義」(マルクス・レーニン主義)を理論的基礎とする日本共産党の存在そのものが、自由と民主主義を基本原理とし、議会制民主主義に基づく選挙によってのみ政権交代を認める日本国憲法体制と矛盾しないかについて、厳しく検証されるべきであろう。ちなみに、旧西ドイツでは共産党は1956年連邦憲法裁判所から禁止命令が出されて解散し、アメリカでは共産党は1954年共産主義者取締法によって非合法化されている。(おわり)
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