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2018-08-28 00:00
(連載1)米中貿易戦争は米国農業が変わるチャンスか
倉西 雅子
政治学者
米中貿易戦争の火蓋が切って落とされたことにより、中国を輸出市場としてきたアメリカの農家は苦境に立たされております。特に大豆を生産してきた農家への打撃が懸念され、11月の中間選挙への影響も予測されます。
しかしながら、見方を変えれば、米中貿易戦争はアメリカの農業にとりまして、変革のチャンスとなるかもしれません。戦後、アメリカをはじめとした主要穀物生産国の要望もあり、GATT交渉の枠組であるケネディー・ラウンド辺りから、農産物は、国際通商体制において貿易自由化の対象に組み込まれることとなりました。大規模な穀物生産が可能な国ほど国際競争力に優りますので、以後、農産物輸出は、アメリカが他国と通商交渉を行うに際しても、重要な市場開放要求の項目となったのです。
実際に、アメリカのワシントンD.C.で始まった日米間の新貿易協議(FFR)でも、アメリカ側は、農産物市場のより一層の開放を日本側に求めたと報じられております。もしかしますと、アメリカ政府は、中国で失った輸出市場の代替を日本国に求めているのかもしれません。
しかしながら、自由貿易において農産物、特に穀物といった一般的な作物が劣位産業となりますと、自国の農業が壊滅するリスクは、如何なる国においても共通しています。しかも、農業とは、古来、人々の生活と密接に結びついてきましたので、農村社会がコミュニティーとして息づいている国ほど、その影響は計り知れません。自由貿易理論は、こうした相手国の社会にまで及ぶ破壊的な効果については看過しているのですが、この他者犠牲の作用は、倫理面からして心のどこかで痛みを感じざるを得ない、自由貿易が内包する負のメカニズムなのです。(つづく)
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