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2018-08-02 00:00
チャイナショックに慌てるな
田村 秀男
ジャーナリスト
中国側の報復は承知の上だろう。トランプ米大統領は7月6日に、対中制裁関税の第1弾を放った。狙いはカネとハイテク両面での対中封じ込めで、習近平政権の経済・軍事拡大路線に立ちはだかる。揺れる上海株式市場から「チャイナショック」が世界に飛散しようと、日本は中国脅威の抑止という大局を見据えるべきだ。
トランプ政権は5月初旬の北京での米中貿易協議で、対米貿易黒字(米側統計で昨年3750億ドル)の2千億ドル削減要求を突きつけた。6月には、ハイテクなど中国からの輸入品2千億ドルに追加関税をかける準備を始めた。上海株価と人民元相場は貿易戦争懸念とともに下落を続けている。習国家主席は「殴られたら殴り返す」と強気だが、中国の成長モデルは極端なドル依存だ。中国人民銀行は流入するドルを原資に人民元を発行し、金融を量的拡大してきた。米国のハイテク企業買収、中華経済圏構想「一帯一路」向け投資も外貨準備高がよりどころだ。
過去10年間の対米黒字合計額は3.2兆ドルで、人民元資金発行増加額の9割以上に相当する。オバマ前政権までは対中貿易赤字を放置し、中国の膨張を手助けしたが、「米国第一主義」のトランプ政権は対決策に転換した。中国の経常収支黒字は縮小基調にあり、今年3月までの年間で1200億ドルである。当局の規制にもかかわらず資本逃避は止まず、同3100億ドルに上ると推計される。外貨準備高の減少を食い止めるため、中国は昨年2400億ドル以上、外国から借り入れた。
国有企業など中国産業界は世界でもダントツの借金依存経営で、国内外からの借金は昨年末20兆ドルを超えた。対米貿易戦争に伴って輸出機会が減れば、債務不履行が続出しかねない。高関税に伴う輸出競争力低下を相殺するための窮余の一策は人民元切り下げしかないが、外貨債務負担は増え、金融危機の引き金を引きかねない。当局は人民元を買い支えているが、人民元の対ドル相場が示すように下落が止まらない。資本逃避が加速しつつあるようだ。米欧の専門家は中国の金融不安を「チャイナショック」と呼び、世界の株式市場への波及を懸念するが、あわてることはない。共産党が支配、管理する硬直的な市場はもろく、いずれ自壊は免れない。「トランプ砲」のとどろきは崩壊時期を早めるのだ。
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