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2018-06-23 00:00
3度目の中朝会談から予想する半島情勢
岡本 裕明
海外事業経営者
金正恩委員長が三度目の訪中をしました。今回、異例だったのは訪中の予定が事前に報じられていたことであります。中国にとって金正恩氏との関係はもう隠さなくてもよい「公認の関係」に発展させた意味は大きいでしょう。米朝首脳会談の報告を行ったとされますが、報告ではなく、それを受けた作戦会議だとみています。中国の歴史的政策である「冊封関係」を今再び、北朝鮮と推し進める意味合いは何処にあるのでしょうか?中国にとって北朝鮮は外交上、都合の良い「コマ」であります。金正恩氏が中国に背中を向けられないと習近平氏は確信しているでしょう。中国にとって不都合な在韓米軍とTHAADはトランプ大統領の性格分析をしたうえで金正恩氏に巧みに託したと言えます。それでなければ飛行機を貸すほどお人好しな国ではありません。そして米朝首脳会談で北朝鮮側は好条件をアメリカから引き出しました。まずは上出来でしょう。
次に挙がってくる課題は中国の対韓国政策であります。ここ数年、中国は韓国に対して冷遇を続けました。基本に立ち返れば中国にとって北朝鮮と韓国どちらを取ると言えば北朝鮮が地政学的には絶対に欠かせないし、半島の歴史を高句麗百済新羅の時代までさかのぼっても基本は半島の根元が重視されてきました。韓国の文大統領は北朝鮮との和平を働きかけましたが、その主導権を中国は握らせたくなかったのかもしれません。事実、ここにきて文大統領の対北朝鮮外交はやや停滞気味です。
むしろ、韓国経済が大きくシュリンクする可能性が出てきました。一つは中国とアメリカの通商戦争がより進めば部品供給をしている韓国経済への影響は大きいこと、それと通貨防衛に苦しんでいることでしょう。これは新興国全般に言えることですが、韓国も大きな影響を受けている国の一つです。ここにきて韓国の雇用情勢も急激に鈍化し、文大統領にとって外交よりも内政、そして経済の立て直しに力点を置かざるを得ない状況にあります。一方、北朝鮮もここで勢いに乗れるのか、と言えば国内が一枚岩になっていない可能性が指摘されています。同国が構造的変化を起こそうとしていますが、国民皆が従順になるわけがなく、保守層から目に見えない反発が出ていると思われます。
日本人からみて韓国人はなぜ仲間内でああまでぶつかり合うのか、と思うことがしばしばあります。何かにつけてすぐに殴り合いのけんかをしてしまう血の濃さを感じます。それは北朝鮮でも同じか、もっと濃いとみています。そうならば若き大将への忠誠心のベクトルは揺らぐ可能性があります。私は金正恩氏が急速に習近平氏に接近しているのは中国に保険をかけるつもりなのだとみています。それこそ暗殺の危険があればいつでも逃げ隠れ出来るところは確保しておきたいでしょう。3か月で3度にもなる訪中が意味するものとは金正恩氏が唯一頼れるのはもはや習氏しかない、ともいえるのかもしれません。
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