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2018-06-22 00:00
イデオロギーで負けた新潟県知事選
加藤 成一
元弁護士
安倍政権の命運を左右するとされた6月10日投開票の新潟県知事選挙は、与党系の花角英世候補が野党系の池田千賀子候補を約3万7000票差で破り初当選した。与野党ともに来年春の統一地方選、夏の参院選の前哨戦と位置づけ総力戦を展開した。それだけに、今回の選挙結果は、今後の政権運営や野党共闘にも重大な影響を及ぼすであろう。
野党系の池田候補を推薦した立憲民主党、共産党など野党5党は、選挙戦の最大の争点とすべく東京電力柏崎刈羽原発再稼働問題を取り上げ、再稼働反対・脱原発を強く打ち出した。のみならず、野党5党は森友・加計学園問題を持ち出し、安倍政権を徹底的に批判し安倍政権打倒を県民に訴えた。これに対して自民党・公明党支持の花角候補は、「県民党」を名乗り、原発再稼働問題については今後の検証結果を踏まえ新潟県民の意思を尊重するとの慎重姿勢を示した。そして、元新潟県副知事としての経験と実績を活かし、県民の安心安全と地域経済の活性化と発展に取り組むことを訴えた。
結果は前記の通りとなったが、野党系池田候補敗北の最大の原因は、推薦した野党5党が、県民にとって切実な地域経済の活性化や社会保障などの問題よりも、もっぱら、イデオロギー的な「脱原発」や「モリ・カケ問題」を取り上げ、安倍政権批判一辺倒であったことであると考える。池田候補は、「新潟のことは新潟で決める」と主張していたが、推薦した野党5党は地方選挙にもかかわらず、地方選挙に国政を持ち込み、安倍政権打倒の手段として新潟県知事選挙を「利用」したと言っても過言ではない。これでは「新潟のことは新潟で決められない」のである。
今回の新潟県知事選挙の結果を見れば、県民は特定の「脱原発」イデオロギーや「モリ・カケ問題」による安倍政権批判よりも、もっと身近で切実な日常の生活の問題を重視していることが明らかである。立憲民主党や共産党などの野党5党が、これからも「安保法制廃止」「特定秘密法廃止」「テロ等防止法廃止」「9条改憲絶対反対」など、特定のイデオロギーを「野党共闘」に持ち込めば、国政選挙においても支持層は限定され、国会での過半数獲得は不可能または著しく困難であろう。共産党を除く立憲民主党や国民民主党などは、今回の選挙結果を総括し、共産党のイデオロギーに影響されず、それぞれの党が国民のために独自の実現可能な夢のある政策を練り上げ国民にアッピールすることこそが政権獲得の途であると言えよう。
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