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2007-04-04 00:00
グローバリゼーション時代におけるナショナリズムの位置づけ
滝田 賢治
中央大学教授
1800年頃10億人であった世界人口は、2007年には65億人に達した。数千年かけてやっと10億人となった世界人口は、わずか200年、すなわち約72000日で55億人も増加したのである。まさに人口爆発である。これが第1次・第2次産業革命の「成果」――第1次・第2次世界大戦による5000万人~6000万人の犠牲者という「負の成果」を伴いながら――であることはいうまでもない。地域によって時期と条件を異にしたとはいえ、2波にわたる社会革命ともいうべき産業革命を基礎とした、その後の科学技術の飛躍的発展が今日の「物質的」世界を基礎付けているのである。
「人・物・金・サーヴィス・情報が、以前の段階よりもより高速度で(=短時間で)、より大容量で、(その結果多くの場合、より安価で)国境を越えて移動しあう」グローバリゼーションの現代的展開もこの科学技術の発展の結果に他ならない。
科学技術の飛躍的発展とグローバリゼーションによって引き起こされた人口爆発、環境問題、感染症、労働力移動、対外直接投資(FDI)、麻薬取引、人身売買などの地球的問題群(グローバル・イシューズ)の解決は、多国間協調主義によってしか解決できない。しかもその解決は急を要している。グローバルな規模での解決に努力するとともに、地理的に近い(国際)地域単位での対応が急務となっている。そのような時に、いたずらにアイデンティティの確保こそが至上命令だとして、自己流に定義したナショナリズムの具現化を声高に叫ぶことは、日本の国際的威信を損ねるばかりでなく、日本がその存立を保障・保証されている東アジアの国際環境を悪化させかねない。
確かにグローバリゼーションの展開がナショナリズムを刺激し――国によっては政府が意識的にナショナリズムを称揚して――それが周辺諸国のナショナリズムを刺激する悪循環を引き起こす場合がありうるが、各国政府は実務的・実際的分野での協調行動を採用して相互信頼醸成に努めるべきである。「美しい国・日本」というスローガンは地球的問題群の解決、少なくとも東アジア地域の安定と平和に貢献する日本の姿を表すためのものであってもらいたい。
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