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2018-05-19 00:00
インドと日本の音楽交流
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
インドは最後の超大国と言われます。13億の人口は近いうちに15億になると予想されています。すでに人口の減少が始まった日本とは異なった展開です。インドはまた親日国としても知られます。日本に対する好感度は高く、日本の工業技術力だけでなく、日本文化への好意や憧れも強いといえます。モディ政権と安倍政権との協力関係も強く、アフマダバードとムンバイ間の新幹線プロジェクトもインドでは大きな話題となっています。自然崇拝や多神教などにおいてもインドと日本は共通点が多く、親近感はあります。
といいながらも、現在のところでは、日本とインドとの経済交流や文化交流はまだまだ限定的です。ちょっと前まで、インドのビザの取得に時間を要したことやインドの専門家が他のアジア諸国と比べて非常に少なかったことなどが影響しているのでしょう。インドと日本とはお互いに好感を持ちながらも、実際にはあまり理解し合えていない仲と言えるでしょうか。この未完の大国インドに4月、日本の音楽ユニット「神雅氣」(Shinki)が大学・学校を中心にコンサートツアーを行い、大きな反響を得ました。「神雅氣」は、教育活動、環境保護、平和、人権などをテーマに世界的に活動をする稀有な音楽ユニットです。日本を代表するブルースギタリスト高谷秀司と、静寂の次に美しい歌声をもつシンガーソングライター小川紗綾佳による魂の音楽ユニットと言われます。日本人離れした2人のグルーヴと繊細でダイナミックな音色は、「宇宙を彷彿とさせる」と定評があります。
この異色のユニットは、インド・グジャラート州のアフマダバード市を中心に、JB芸術大学やSBVP平和センターなど5ヶ所でコンサートを行いました。グジャラート州はマハトマ・ガンジーが生まれ、活動を行った地でもあります。それだけに世界平和や非暴力・人権の意識は高く、「神雅氣」のコンサートへの期待も大きなものがありました。「神雅氣」の高谷氏と小川氏も実際にガンジーアシュラムなども訪れ、ガンジーのスピリットも感じることができたようです。平和・環境・人権などをテーマの「神雅氣」の音楽は、すべての会場で熱気を持って受け入れられました。平和を歌い、自然と人間のハーモニーを求めるユニット神雅氣。灼熱のインドで、会場はさらなる熱気に包まれました。彼らの音楽の迫力と繊細さにコンサートごとにスタンディングオベーション。インドに新たな衝撃を与えたといえます。これからの展開に夢が繋がります。
日本では音楽に平和や環境、人権などのメッセージ性を入れない方向が強くあります。恋愛などをテーマにして、できるだけ思想性を入れないような「文化」があります。しかし世界では音楽と思想性とはかなり強く結びついています。「神雅氣」がインドでこれほどに熱狂的に受け入れられたことは今後のこうした方向での可能性を感じさせます。日本の音楽、日本の文化をインドだけでなく、世界に広めるためにはどうすればいいのでしょうか。日本の思想、日本のスピリットをさらに入れ込み、世界の人に伝える展開が必要なのでしょう。インドは、経済だけでなく、文化での交流の大きな可能性を秘めています。新たな展開が期待されます。
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