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2018-04-02 00:00
最近の東アジア事情について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
先日、訪日した反体制派の香港人歴史学者と、東アジア事情について懇談した。その内容を紹介したい。
安倍政権について「日本にとって4月中旬に予定される日米会談は、先の読めないトランプが相手であることから特に成果が得られないかもしれない。現在の安倍政権は、中国からすると些少な便宜供与問題で苦境にあり、タイミングが極めて悪い。こうして安倍政権が国内政治でたたかれている構図は、今の東アジア情勢からすると、中国、北朝鮮をいたずらに喜ばすだけだ。金正恩が、東京五輪へ参加を発言したとの情報のみで、北はすっかり融和的になったなどと述べている日本のテレビ・コメンテイターには首をかしげる。共産主義体制をよく知る自分としては、かれらは、どこかにいじめの対象を見つけ出し、それを叩くのが習慣だ。中国も北も、南北朝鮮の対話、米北朝鮮対話の始まる中で、安倍政権のみが朝鮮半島の雪解けに反対していると言いふらしてもいる」と述べていた。
続いて東アジア情勢について「今回、習近平と金正恩が対話したが、金は、叔父の張成沢、実兄の金正男などを中国派だとして殺している。あくまで今回の握手は米との対話を控えての一時的なものだ。今年は日中平和友好条約締結の40周年だが、日本が苦労したのは、ソ連を敵とした覇権条項挿入問題だ。日本はこれを飲まされることで、当時の日本の外交を迷走させた。ソ連は、それ以前は首脳会談などで北方諸島返還問題を議題として取り上げていたのを、それ以降は議題にしなくなった。それが今に続いている。今回自分が接触した日本人の多くが気づいていないが、今、中国の一番の原油の輸入先は、中近東のサウジアラビアではなくロシアだ、ロシアとしても、欧米から経済制裁を食らい、今や最大のお得意様となった中国へ万事配慮するようになっている。5月の安倍のロシア訪問でも、日本の「イージス・アショア」配備などの防衛努力について、中国配慮の観点からより厳しい注文がつくものになろう。一方、中国の軍の近代化のスピードは著しい。そしてより外に向かう軍隊となってきている。2020年までに、ロシアを超す海軍力達成も可能性が大きい。軍事力全体で述べれば、特に中距離弾道ミサイル分野では顕著だ。その9割以上は、日本向け(日本の米軍基地)とも言われる」と述べていた。
最後に「自分は、母親の関係で、カトリック教徒であるが、最近のバチカンの対中国融和政策はおかしい。中国の現在の宗教統制を黙認する政策だ。2千年の伝統を破り、初めてフランシスコ法王が、欧州以外の南米アルゼンチンから登場したわけだが、やはり正道を外している。世界でカトリック教徒は、10億人以上、プロテスタントは3-4億人といわれるが、中国では1億人以上のキリスト教徒(政府公認の教会と地下教会を合わせて)の内カトリック教徒は約1割程度といわれ、プロテスタント、特に、米系統の福音派教徒数増加に遅れをとったことに焦ったのかもしれない。ちなみに法王フランシスコは、オバマ政権時代に訪米し大歓迎を受け、その頃訪米していた習近平を影の薄いものにした。法王は、米で死刑廃止を強く主張したが、先進国で、死刑廃止をしていないのは米と日本だけだ」と述べていた。
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