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2018-02-22 00:00
円高阻止の鍵は日銀首脳人事にあり
田村 秀男
ジャーナリスト
あれよっという間の円高である。財務省は投機に神経をとがらすが、何が投機筋を動かすのか。昨年末以来の日本の長期金利と円の対ドル相場の日毎の動向をみてみると、円相場と長期金利は鮮やかに連動している。1月9日に日銀が市場から買い上げる超長期国債の規模を大幅に減額すると発表して以来、長期国債の利回りが上昇軌道に乗った。通常、円・ドル相場を決定づけるのは日米間の金利差で、米国債利回りが日本国債よりも高くなればなるほどドルが買われ、円が売られる。今年1月9日以降も、金利差は広がっているので、円安が続くとみるのが為替相場の常識というものだが、逆に円高になっている。
となると、円高の要因は日本の長期金利高しかない。金利高を招いたのは日銀の長期国債買いの減額だから、真犯人は日銀ということになる。このまま円高局面に転じてしまうと、企業は収益減をみて、賃上げを渋りかねないし、経済全体にデフレ圧力がかかる。春闘での3%賃上げに脱デフレ期待を強める安倍晋三政権や黒田東彦日銀総裁が慌てるのも無理はない。黒田総裁は23日の金融政策決定会合後の記者会見で、国債買い入れの減額について「政策的なメッセージはない」と釈明した。政策決定会合では年間80兆円の長期国債購入方針や物価安定目標2%達成の堅持でも一致し、火消しに躍起となっている。ところが、市場は懐疑的で長期金利高と円高が止まらない。さらに、ムニューシン米財務長官のドル安歓迎論が円買いを後押しした。
今後どうなるのか。円安局面に戻るのか、それとも、デフレ再燃ラインとされる1ドル=100円前後まで円高が進行するのか。鍵はやはり、何よりも日銀の政策スタンスにある。折しも、日銀が1月29日に公開した2007年7~12月の金融政策決定会合議事録は、当時の福井俊彦総裁ら日銀首脳部の「トンデモ」発言が満載されている。物価が下落しているのに、「デフレ」懸念の一言も出ない。米住宅バブル崩壊が始まったというのに、日銀は利上げ時機を模索するというありさまだ。
何よりもインフレばかりを気にし、金融引き締めを優先させる日銀の伝統的な考え方は「日銀理論」と呼ばれる。黒田日銀体制は日銀理論を全面否定し、異次元緩和策は長期国債に加えて上場投資信託(ETF)まで買い入れているが、追加策に事欠いている。マイナス金利政策も収益が圧迫される大手銀行などからの反発で「深掘り」できない。日銀理論派が息を吹き返す動きもある。安倍晋三首相周辺は「脱デフレを実現するためには1ドル=120円の水準を保つ必要がある」とみているが、市場に揺るぎないメッセージを送るしかない。4月には任期が切れる黒田総裁の続投も噂されるが、円高阻止のためには、思い切った日銀首脳人事の刷新も選択肢になるだろう。
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