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2018-01-25 00:00
最近のロシアをめぐる国際情勢
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
米国の若手国際問題研究者(同人の夫人はロシア人)と、ロシアをめぐる国際情勢について懇談した。その内容を紹介したい。
同若手研究者は「今年は、3月のロシア大統領選挙、11月の米中間選挙と今後の国際情勢に影響するであろう二つの選挙がある」と述べた。これに対して小生より「ロシアの選挙は、もうプーチンの当選は決まっているのではないのか」と問うたところ、同若手研究者は「しかし、若者の経済面での不満は大きくなっている、以前よりデモも多くなってきている、政権側は、若者の政権応援団を結成したり対応に追われている。対応を大きく間違えば、爆発の危険もある。中国と異なりロシアは民主国家だ。欧米のそれと様相が少し異なるだけだ。プーチンは当選後、対外関係に実際に使える時間は前半の3年だけで、後半の3年は、後継者育成などの国内問題、引退後のキングメーカーとしての地位確保に力を注がねばならないだろう。後継者は、現在の知事クラスから抜擢するものとも言われている」と述べていた。
また同若手研究者は「ロシアの対米関係について、ロシアはトランプに当初期待したが、今や、トランプ後をにらんで動くより仕方がないと考えている。安倍とは、トランプは20回も、会見、電話など対話しているが、プーチンとは、1、2回だけだ。トランプは口では、ロシア擁護の発言などするが、政権としては、最近の『国家防衛戦略報告』にあるように中国と並べて、戦略上の競争相手とハッキリと位置付けている。ロシア人が怒るのは、米国へのサイバー攻撃でも、中国の方がはるかに大規模に行い、米国の損失も大きいはずなのに、ロシアへの懲罰が大きい、それは彼らに言わせると、中国の経済力からきているという。トランプはじめ、米議会の議員がそれぞれ、企業献金、政治資金供与などを受けているからだ。日本は、北方四島付近への、ロシアの軍事力強化をよく批判するが、ロシアは、第二次大戦後同地域から戦力を一旦は大幅に引き上げ、その後、70年代ごろからまた、米への対応で大型軍事力を配置していた。それを元に戻そうとしているだけだ。その意味で、日本への2島返還も、返還したら、米の軍事力が置かれる不安から、安倍、プーチンの親密な関係でも難しい状況だと考える」と述べていた。
次に中国について、同若手研究者は「中国は、昨年の19回党大会で、習近平の足場が固まり、国際社会に大々的に打って出ようとの構えだ。しかし、彼らは、まだ、国際社会ではナイーブな面があり、中国の体制を尊重し、彼らの国際貢献などを称賛してくれることを、いつも求める。『人類運命共同体』、『新型国際関係』などとスローガンは、大仰だが具体化はまだだ。お手並み拝見だ。欧米の制裁を受け、ロシアは、中国となんとかつきあっているものの、不満は大きい。中国への、石油や液化ガスなどの販売でも、中国は相手の弱みに付け込みとことん値を叩いてくる。彼らの『一帯一路』構想は、ロシア極東の開発には役立たない。ロシア人に言わせると、ロシアは、かつてスプートニク打ち上げでなどで、欧米に実力で勝利した実績があるが、中国は、欧米の真似ばかりで、一つも独創性はない。ロシア今、中国への過剰依存に悩んでおり、いつかそれを是正しようとしている」と述べていた。
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