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2007-03-14 00:00
同盟の危機―多国間安全保障枠組み―
鈴木 馨祐
衆議院議員
日米同盟が日本の外交の最重要基盤であることに異論はないだろう。しかしながら昨今の国際政治情勢を踏まえれば、我々は国際環境の変化に対応して日英同盟が廃止されるに至った歴史的経緯に今こそ思いを致すべきではないだろうか。
日本が地政学的に非常に困難な状況にあるとき、おそらく日米同盟は磐石なはずである。しかしながら地政学的環境が緩みだすと同盟自体も緩みだす可能性が高いのは、日英同盟が四ヶ国条約や九ヶ国条約に取って代わられた、そして当時の日本政府の首脳がそのような選択をしたという事実からも明確であろう。当時の日本政府首脳とて理性的合理的判断の結果の決断だったに違いないのである。
その観点から私は現在の状況に若干の危惧を覚えざるを得ない。日豪の安全保障協力は価値を共有する国同士のパートナーシップとして正当化されようが、もしこれが国際情勢の緩みに対応する日米同盟の相対的重要性の低下を意味するものであるならば、それは当然懸念されるべき情勢である。
それに加え何よりも危惧されるのは六ヶ国協議である。北朝鮮の暴発懸念に伴い、少なくとも外形的には隣国の混乱を好まない中国が日米と協力し危機的状況を打開しようとして主体的に動いたというのが現状であろう。しかしながらその成果文書の中にある合意事項に北東アジアの安全保障という作業部会の設置が決定され、「対象地域は朝鮮半島だけでなく北東アジア地域全体」(外務省)とされている点が非常に気になるところである。
六ヶ国協議の枠組みを北東アジア地域の安全保障の枠組みに移行させようという意図を持っている国があるということも耳にする。仮にそのようなこととなれば誰が得をするのかは敢えて書くことはしないが、地域的な安全保障枠組みの成立が北東アジア地域における日米同盟のプレゼンスの低下をもたらす可能性が極めて高い以上、少なくとも日本にとっては長い目で見ればマイナスが非常に大きいということを我々は認識すべきである。
ある程度の緊張緩和に気を許し、日米同盟から実体のない多国間の安全保障にシフトしてしまえば、再び緊張状態となったときに日本は頼るべき強固な同盟国がおらず孤立するというシナリオも考えられる。政治家、外交当局としてはしっかりと現状の底流と将来のリスクを見据えて動いていかなくてはならない時期にさしかかっているのではないだろうか。
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