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2017-11-24 00:00
(連載1)メディアはSNSとどう向き合うべきか
牛島 薫
団体職員
一ヶ月前、安倍自民党の解散総選挙大勝に日本中どころか世界中が注目した。あれほど退潮著しく見えた安倍自民党が実質増勢となる得票を獲得したことは、先駆けて行われた東京都議選の結果を踏まえればにわかに信じがたいものであった。その裏で、今回特に特異だったのが新聞やテレビといった既存メディアとTwitterを代表とするSNSを介して生まれる「ネット世論」の乖離である。今次の衆院選における、安倍政権に否定的な大手メディアとTwitterなどのSNSを介して形成される「ネット世論」の対立構造は、私のような一般大衆にも非常に分かり易かった。SNSを利用しない国民は全く気付かなかったであろう驚きの現象が電脳世界で起きていたのである。既存メディアに徹底的に反発する「ネット世論」がサイバー空間で躍動していた。終わってみれば幾多の国政選挙を経て不敗の第二次安倍内閣は、既存メディアの猛攻を受け続けたのにも関わらず、またも倒れなかった。未だかつてここまでメディアの論調と選挙結果が乖離したことはなかった。
日本でSNSが普及し始めたのは、米アップル社がiPhone3Gを投入して日本に進出してきたのが契機と言っても過言ではない。後続のiPhone4sが登場した2011年頃には、独自仕様の塊であった日本製の携帯電話は駆逐されてしまった。これはたった6年前のことである。これより更に一時代遡ると、パソコンの時代があった。2ちゃんねるを代表とするインターネットコミュニティはパソコンの普及とともに成長したが、パソコンは高価で専門性が高く何より文字文化でエンターテイメント性が低かった。当時のインターネット環境ではギークのたまり場以上にはならず国政選挙に影響を与える力は持たなかった。
ところが、iPhoneはインターネットで瞬時かつ簡単に文字だけではなく動画や写真が付属した即時性のエンターテイメントを入手し配信する手段を庶民に与えた。そして現在ではSNSは、ユーザーの「好きな情報」を無尽蔵に供給し続けており多くの日本人がSNSに魅了されている。要するにSNSによって、流動性が低く偏在しがちだった情報は普遍的かつ即時性のものになった。対する既存メディアは、SNSに比して情報伝播力での優位性を失っている。民主党への政権交代が起きる以前は、メディアを敵に回した政権は大抵求心力を失ったが、スマートフォンが普及した東日本大震災以降の政権はその関連性が弱くなっている。ただし、既存メディアが存在価値を失ったわけではない。
SNSの多くの情報は既存メディアから供給された情報を含んだものだからだ。だが、実はここに今回の既存メディアと「ネット世論」の乖離のミソがある。現代のSNSユーザーは「好きな情報のみ」を浴びることに耽溺する傾向が顕著になっている。というのも、インターネットが世界中のあらゆる情報にアクセスできるからといって、必ずしもユーザーが多様な情報に触れるわけではないからである。人間は自分の信念に合った情報ばかり集め、合致しないそれは無視する傾向がある。これは補強効果といわれ昔から知られているが、SNS上では顕著で、ディアが発信する情報が直ちに無名の人々によって検証され、都合がいいコンテンツであれば過激な表現で引用・補足されてSNS上で拡散される。もちろん不都合な情報であれば無視される。なお、こういうことはインターネット以前からあったことではあるが、かつては知識層、特に学者や記者などのごく一部のステージでしか起こらなかったことが、スマホを持っている人ならば誰でもその現象に自ずと関与するようになったために、そのダイナミズムはかつてない激しさだ。(つづく)
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