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2017-11-02 00:00
(連載1)習近平政権の上海人脈にみられる政治闘争
加藤 隆則
汕頭大学長江新聞與伝播学院教授
習近平政権2期目の政治局員メンバーの大きな特徴の一つは、上海人脈が目立つことだ。常務委員入りした韓正・前上海市党委書記をはじめ、丁薛祥・党中央弁公庁副主任、楊潔篪元外相、楊暁渡・党中央規律検査委副書記の計4人。山東出身だが学生時代以来、上海で過ごした常務委員の王滬寧・党中央政策研究室主任を含めれば、政治局員25人のうち五分の一の5人を占める大勢力だ。
これをかつて江沢民元総書記が率いた「上海閥」だと勘違いしてはいけない。実態はその逆で、習近平が最重要経済都市である上海の人脈を、江沢民の意向にかかわらず掌握したことを物語る。大きな権力構造の変化だ。習近平が中央に国家副主席として登用される前、わずか10か月滞在した上海で、すでに有能な人材に目を付けたことは見逃せない。
特に象徴的な人物が、政治局入りした栗戦書に代わって秘書役を務める丁薛祥(55)と、要職であるインターネット統制の責任者で党中央宣伝部副部長の徐麟・中央インターネット安全情報化指導グループ主任(54)だ。徐麟は中央委員入りした。いずれも若く、将来が嘱望されている。二人とも一貫して上海勤務で、習近平が上海市党委書記時代、同市常務委員に抜擢した深い縁がある。とりわけ丁薛祥は、上海時代から習近平の秘書役を務めており、信任が厚い。習近平が2013年12月28日、抜き打ちで北京市内にある老舗肉まんチェーン店「慶豊包子舗」月壇店を訪れ、一般客に交じって食事をした際、隣に付き添ったのが総書記弁公室主任に就任したばかりの丁薛祥だった。
この上海人脈のなかで、今回トップの常務委員となったのが韓正・前上海市前総書記である。私は上海勤務時代、記者会見で何度が接しているが、共産主義青年団(共青団)出身に特有の官僚臭が強く、記者の質問に堂々と答えるような大人物の風格はない。記者に囲まれオドオドするようなタイプだ。ある意味、官僚社会では有能な人材なのかも知れない。決して特定の派閥に偏ることなく、その時々の権力の風向きを見て、柳のように身の振り方を変えることができる。習近平が根っから信用しているようには見えない。ただ、従順であることは間違いない。(つづく)
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