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2017-10-31 00:00
成長率高ければ自民得票率が上昇
田村 秀男
ジャーナリスト
衆院総選挙でアベノミクスは有権者大多数の信任を得たわけだが、実際に景気は選挙にどの程度反映するのだろうか。2005年9月の小泉純一郎政権による「郵政選挙」以来、今回までの衆院ブロック比例代表の自民、民主、立憲民主、希望の得票率と選挙直近時点の実質経済成長率の推移を追ってみる。成長率が高ければ、自民の得票率が上がることは間違いない。民主党は08年9月のリーマン・ショック後の不況時の選挙で強力な追い風を受けて大勝し、得票率42%台に達した。当時の実質成長率はマイナス0・1%で、自民は惨敗した。
民主党政権は財務官僚の言うがままに緊縮財政を続け、11年3月11日の東日本大震災の危機対応で混乱した揚げ句、復興・復旧費も増税を優先する具合だった。本来なら、大規模で迅速な財政資金の投入で、上昇軌道に乗るはずの景気は低空飛行を続けた。日銀はリーマン後でも続けてきた引き締め基調の金融政策を変更せず。大震災後は円高が急速に進行する始末で、デフレ圧力がますます高まった。民主党政権は「政府からの独立」を標榜する白川方明日銀総裁のなすがままにさせた。
野田佳彦政権は消費税増税を国際公約したうえで、12年に自公両党を巻き込んで消費税増税のための3党合意を成立させ、同年11月に衆院解散、12月総選挙に踏み切り、自滅した。自民は、民主党政権の経済無策をしっかりとみた安倍総裁が金融緩和と機動的な財政出動を主柱とするアベノミクスを唱え、選挙で圧勝し、第2次安倍政権を発足させた。景気は上向いたが、「3党合意」に縛られて14年4月には消費税率を8%に引き上げたあとは失速。安倍首相はそこで15年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げの延期を決断し、民意を問うたのが14年12月総選挙だ。景気がマイナス成長から脱する絶妙のタイミングで、自民の得票率は33%と前回の27%を超えた。
そして、今回、安倍首相は北朝鮮危機、少子高齢化という「国難」を理由に衆院解散・総選挙に打って出た。景気の方は安倍首相が求人倍率の大幅な改善など、アベノミクスの成果を強調するのに対し、希望の党の小池百合子代表が衝いてきたように回復の実感が一般には浸透していないし、実質賃金も下落基調が止まらない。おまけにデフレが再燃している。経済からみれば、与党有利とは必ずしも言えない情勢だった。そこで、小池氏が希望の党を立ち上げ、民進党の中道右派を取り込んだが、強引な踏み絵手法が嫌われ、風に乗れなかった。国政の責任政党としての資格に疑問符がついたのだ。自民は前回の得票率を維持して圧勝した半面、民進党左派の立憲民主党が護憲とアベノミクス批判票を一定程度集めた。小池氏がまとまった経済政策を掲げ、国政のリーダーにふさわしい印象を与えたら、どうなっただろうか。
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