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2017-10-13 00:00
日本の危機の元凶は消費税増税
田村 秀男
ジャーナリスト
安倍晋三首相の衆院解散総選挙決断のきっかけは緊迫する北朝鮮情勢だという。自衛隊の位置づけを正常化させる憲法9条の改正をめざす首相がこの機をとらえて、国民の信を問うのは至極もっともだが、衆参両院での3分の2の多数、さらに国民投票という途方もないプロセスを経なければならない。銘ずべきは、日本の真の危機はかの金正恩朝鮮労働党委員長の所業によるというよりも、自身の経済の弱さから来ているという現実だ。北朝鮮経済はリーマン・ショックで打撃を受けたが、膨張が加速する中国経済に連動するように成長を遂げてきた。北の貿易の9割を占める中国が北をモノ、カネ両面で支援してきたからだ。
国連統計によれば、北の国内総生産(GDP)は実に日本のそれの0・4%にも満たない。そんな経済零細国が核・ミサイル開発に巨費を投じることができたのは中国の協力のおかげである。北朝鮮問題というのは、中国膨張の副産物なのだ。中国と対照的なのは日本経済である。アベノミクスにもかかわらず、ドル・ベースでの2016年の日本のGDPは、12年に比べて1・2兆ドル減り、同2・6兆ドル増の中国との差を大きく広げられた。景気はここにきてようやく回復し始めたのだが、14年度の消費税増税と緊縮財政に伴う経済の萎縮分を取り戻せないでいる。
故三島由紀夫は47年前、「無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残る」と警告したが、今や「極東の経済大国」の存在感すら薄れている。北朝鮮による拉致被害者家族会は最近、訪米したが、米政府、議会や国連などの関係者からは「日本は何をしているのか」と一様に聞き返されたという。北朝鮮問題は増長する中国に対して退潮する日本という構図の一コマでしかないはずだ。そんな文脈で考えると、日本経済を大きく萎縮させた14年4月からの消費税増税こそは北朝鮮の核・ミサイルと同等、もしくはそれ以上のスケールの日本の危機の元凶なのだ。
安倍首相はこの際、19年10月に予定している消費税再増税を凍結すると宣言すべきではないか。その意味は、日本経済再生を果たすという政治意思の鮮明化であり、景気が少しでも上向けばただちに増税と緊縮財政に切り替える財務官僚型政策路線からの決別である。首相は、前回の消費税増税がいかに失敗だったかと周辺に吐露しているようだが、率直に有権者全体に説明すべきだ。対する民進党は支離滅裂な党内事情から自滅しつつある。「解党的出直し」を図るなら、民主党政権時代の消費税増税推進路線がいかに誤りだったかを、それこそ総括すべきだろう。前原誠司代表が「社会保障財源確保のための消費税増税」という破綻論理にしがみつくのは滑稽きわまりない。失敗に目をつむり、経済再生の具体策を示せない者が憲法改正を口にするのは、軽薄過ぎよう。
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