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2017-09-23 00:00
北朝鮮による核使用の可能性
倉西 雅子
政治学者
北朝鮮問題の解決につきましては、中国やロシアのみならず、アメリカの国内においても北朝鮮を正式に核保有国として認定し、アメリカ本土に届くICBM開発の停止や部分的核実験禁止条約への参加を交渉を以って実現すべし、との意見が聞かれます。しかしながら、この見解、北朝鮮の国柄を考慮すれば説得力に乏しいのではないでしょうか。そもそも、北朝鮮は、NPT条約の加盟国でありながら秘密裏に核開発を開始し、全世界を震撼させました。常識を逸脱した北朝鮮の行動に対して、アメリカは、硬軟両面から対応を検討したものの、結局は交渉による解決を選択し、米朝枠組み合意において北朝鮮に“あめ”を与える一方で、核放棄の約束を取り付けます。ところが、北朝鮮は、枠組み合意で放棄したのはプルトニウム型の核兵器であると主張し、濃縮ウラン型の核兵器の開発に乗り出すのです。
94年の米朝合意ほど、北朝鮮という国の行動様式を表している事例はありません。NPTという一般国際法のみならず、二国間合意をも破っているからです。つまり、この事例から、北朝鮮という国は、法で縛ることも、合意で拘束することも不可能であり、まさしく、“主体思想”という名の通り自己中心主義の塊であり(ただし、他者の主体性は認めない…)、野獣の如く、自らの欲するままに行動する国であることが分かるのです。こうした北朝鮮の国柄を考慮しますと、たとえ、正式に同国を核保有国と認めたとしても、その後の行動は凡そ予測がつきます。NPTに違反するぐらいですから、当然に、ICBMの開発停止や部分的核実験禁止条約の誠実な遵守を北朝鮮に期待することはできません。暴力しか信じないのですから、法も合意も紙切れに過ぎず、北朝鮮は、これらを自らが有利な地位に上り詰めるために悪用することでしょう。続く六か国協議も時間稼ぎでしかなかったわけですから、これらの主張は、“もう一度騙されよ”と勧めるようなものです。
そして、北朝鮮の本質が、極端な自己中心主義にあるとしますと、核の抑止力も色褪せます。核の抑止論は、双方ともに理性が備わっており、“相打ちによる自国の滅亡を予測すれば、双方とも核兵器を使用しない”とする前提に立脚していますが、北朝鮮の場合には、この前提は成り立たないからです。自己中心主義が嵩じますと、“自国が滅亡しても相手国を破滅させてやる”、あるいは、“自分が支配者になれなければ人類を滅ぼしてやる”という心理に行き着きます。こうした無理心中の心理は、しばしば人間社会に見られますが(このケースは、相手を不憫に思う故の無理心中ではなく、自らの欲望が満たされない場合に現れる身勝手な利己主義型)、生存本能に従って勝負に負けるとすごすごと逃げ出す動物よりも厄介な感情です。
北朝鮮の思考や行動様式からしますと、核の使用可能性はアメリカよりも北朝鮮の方が格段に高く、核の抑止力頼みにも危うさがあります。言い換えますと、アメリカの対北抑止力は弱い一方で(日本国が核武装した場合も同様…)、北朝鮮の対米抑止力は強く、米朝間には抑止力の強度に差があるのです。北朝鮮問題に関しては、同国に対して理性的な行動を期待せず、身勝手な無理心中型核攻撃の阻止をも考慮した対策を講じるべきではないかと思うのです。
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