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2017-09-14 00:00
(連載1)地方創生には地方の成長力の発揮が必要
田村 秀男
ジャーナリスト
高知県で地方創生の現場をいくつか訪ねてみた。四国山脈の奥深く、吉野川の谷合いにある長岡郡大豊町では、獣がのさばり、鹿による食害で山は荒れ、果樹は実ったところで猿に食べられる。わが物顔に徘徊するのはイノシシで、高齢者を脅かす。そんな地元で高まっているのは「ジビエ」熱だ。ジビエはフランス語で、狩りで獲った野生鳥獣の食肉のことで、欧州では貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化を表す。
地元の人々はジビエに着目し、わなで鹿やイノシシをとらえ、高級食材にするプロジェクトの検討を進めている。人の口に合わせるためには、捕獲後の処理、保存に工夫が必要で、設備にカネがかかる。需要元はジビエ料理店だが、地元周辺で数は限られるし、新鮮な食材を大都市まで届ける流通ルート開拓には時間がかかる。野生相手だから、まとまった量を安定供給できるかどうか、不安が残る。
そんな折、地元関係者が殺菌処理しただけの鹿肉を飼い犬に与えてみたところ、むしゃぶりつく。老犬の毛並みはつやつやになり、市販のペットフードで肥満気味だった若い犬たちは引き締まり、駆け回る。そこで、地元で年金生活を過ごす小森将義さん(70)は一念発起して、起業を決意した。
犬用ジビエを製品化し、全国に売り出す計画で、工場を建てる。「最初は2、3人しか雇えないが、地元に若者の雇用の場をつくれる」と小森さんは張り切っている。ペット用だと、ヒト用と違って鹿肉の処理は簡便で、殺菌と乾燥用の設備投資で済む。あとは全国での販売網を開拓し、ブランドを確立させると、規模拡大できる。過疎のために山間部は獣たちの世界に回帰しつつあり、日本の衰退を象徴するのだが、発想を変えれば、自然はビジネス機会の宝庫になりうるのだ。(つづく)
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