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2017-08-22 00:00
終わりの見えないアフガニスタン戦争
川上 高司
拓殖大学教授
アメリカ史上最長の戦争となりつつあるアフガニスタン戦争は、2001年の開始以来16年を超えようとしている。その間、2人の大統領がさまざまな戦略を立て実行してきて今日に至る。アフガニスタンからタリバン勢力を駆逐し民主的政権を打ち立てるという国家創造に取り組んできたが、16年経ってもタリバン勢力は衰えず、むしろISの勢力が入り込んでより複雑になりつつある。要するにアメリカのアフガン政策は失敗しているのである。
3人目のトランプ大統領になると、完全撤退という選択肢がテーブルに載った。側近のバノンがその急先鋒であり、アフガニスタン戦争はアメリカにとって無駄だからさっさと手を引いて国内問題に集中するべきだという理屈である。これは「ゼロ・オプション」と呼ばれトランプ政権内では優勢だった。ジョン・ケリー首席補佐官が来るまでは。ケリー補佐官が着任後、トランプ大統領は「ゼロ・オプション」は放棄し、アメリカがアフガニスタンから手を引くことはなくなった。
マックマスター安全保障担当補佐官は3000人規模の増派を提案している。トランプ大統領は渋っているようだが、ケリー首席補佐官、マティス国防長官も乗り気であるからおそらく増派が決定されるだろう。バノンとケリーの権力闘争は今のところケリーが優勢のようだ。ケリー首席補佐官はイラク戦争で活躍した海兵隊大将である。彼の息子もはやり海兵隊としてアフガニスタンに従軍していたが、2010年に現地で戦死している。息子の死を無駄にしないためにもアフガニスタンからタリバンを駆逐し国家として立て直したいという思いがあるのかもしれない。
現在8400人の米軍が駐留している。3000人増派すれば1万強の駐留となる。NATO軍もアメリカの増派には賛成している。現地では減少したとはいえ毎年戦死者が出ていることからもわかるように、厳しい闘いを続けているのが現状である。トランプ大統領はアフガニスタンの総司令官をクビにしろと国防長官に命じたものの議論は進んでおらず政権内は相変わらず混乱している。そもそもアフガニスタン戦争のゴールは何なのか、この戦争での「勝利」とは何を意味するのか。誰のための闘いなのか。その根本的な議論がなされない闘いはいつまで続くのだろうか。
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