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2017-08-04 00:00
習近平“主席”は現代のチンギス・カーンとなるのか
倉西 雅子
政治学者
チンギス・カーンの一代記でもある『元朝秘史』には、現代の人道レベルでは、“閲覧注意”の警告が付されるほどの残酷な描写が散見されます。13世紀の出来事ですので、ユーラシア大陸に出現した無法者が世界の覇者となる展開は現代ではあり得ないように思われますが、今日の暴力を信奉する中国や北朝鮮等の行動を見ておりますと、楽観的な油断は禁物なように思えます。
先日も、中国では、人民解放軍の創設を祈念するパレードが催されましたが、その開催地は内モンゴル自治区でした。何故、敢えてモンゴルの地が選ばれたのか、そこには、独裁体制の強化を狙う習主席の新たなる野望が見え隠れするのです。昨今、習主席の目指すべき目標は毛沢東体制の再来であり、“党主席”のポスト復活の要求も、自らを毛沢東と同列の地位に置きたい欲望の現れとされてきました。その一方で、同氏の最近の行動を見ますと、建国の祖である毛沢東を越える、すなわち、中国の枠を越えることに、自らの人生の目標を転じたようにも見えます。そして、新たな野望を達成するに際してお手本とした人物こそ、騎馬団を率いて世界征服に乗り出したかのチンギス・カーンあるかもしれないのです。
トップの命令ひとつで動く人民解放軍こそ、現代のモンゴル騎馬団であり、近年の人民解放軍の再編でも、チンギスの軍制改革と同様に、中央集権と上意下達を徹底させています。現代中国が推進する一帯一路構想やAIIBの設立、そして、人民元が広域的に流通する通貨圏構想も、チンギスやその後継者が、積極的にイスラム商人やユダヤ商人を登用し、捕虜を商品とした奴隷貿易をも含むモンゴル経済圏を広め、世界で初めて不兌換の政府紙幣を発行した歴史を思い起こさせます。政治と経済が結託しながら世界制覇を目指す姿勢は、両者において共通しているのです。
モンゴル軍の侵略の爪痕は深く、マルコ・ポーロの『東方見聞録』にも、往年の繁栄が見る影もなくなった征服地の荒廃ぶりが記されています。容赦のない殺戮と掠奪によって人類文明を崩壊寸前にまで追いやったモンゴル思想という残忍な負の思想の影響は、今日に至るまで、ユーラシア大陸には色濃く残っているようです。そして、その無法と暴力を許す思想が(今日の国際法では侵略は“犯罪”…)、共産党一党独裁の衣を纏った習近平体制の成立として現代に具現化されるとしますと、それは、人類にとりましては、悪夢の再来となるのではないかと思うのです。
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