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2017-08-03 00:00
そしてプーチンはイエメンへ行く
川上 高司
拓殖大学教授
7月26日、トランプ大統領はシリア政策における方向転換を発表した。2013年からアメリカが始めたCIAによるシリア反政府軍への支援を中止するというのである。このアメリカの方向転換によりシリア反政府軍は戦力をそがれ、シリア政府側が圧倒的優位に立つという見方がある一方で、そもそもCIAの支援は効果を失っておりもはや影響力はないという見方もある。いずれの見方をとっても結論はシリア政府の優位ということには変わりない。
このアメリカの政策転換にはロシアとの関係が大きく影響している。7月5日にテラーソン国務長官は「米露はシリアで協力していく」とコメントし、マティス国防長官も「米軍の目標は打倒ISでありロシアは敵ではない。内戦は外交で終焉させるべき」と表明した。トランプ大統領もアメリカの関心は打倒ISであり、打倒アサドではないと強調している。シリアでの米露強調路線はケリー国務長官時代にも見られたが、前政権と大きく違う点は現政権では主導権がロシア側にあるという点につきる。
アメリカがシリア内戦でもたついている傍らでプーチン大統領は一足早くシリアの内戦終結に目処をつけ、さっさと次の目的地へと向かっている。プーチンが解決するべき次の紛争地はイエメンである。イエメンではサウジアラビアの支援を受けているスンニ派と、イランの影響力の強いシーア派のホーシ派が熾烈な争いを続けている。内戦の犠牲になった国民は深刻な人道危機にあり、「人類にとっての恥」とも言われているほどである。
その内戦の解決にロシアが乗り出したのである。イエメンはアラビア半島の南端に位置し、紅海をはさんでエジプトと面し、アデン湾に通じるバブ・エル・マンデブ海峡を臨む。ロシアにとって地中海からアラビア海へと通じる要衝に位置するのがイエメンである。ロシアがイエメンの内戦終結に寄与しこの地に海軍基地を建設すれば、シリアの海軍基地とともにロシアのプレゼンスは一気に高まる。プーチンの思惑はまさにそこにある。イエメンでは対立する双方のグループと交渉し圧力をかけて内戦終結にむけて交渉のテーブルに着かせるところからロシアはスタートし、片方にのみ肩入れするアメリカとは異なるアプローチであることを強調する。プーチンの変幻自在な外交が中東で展開中である。
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