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2007-02-23 00:00
定着しつつあるAPT主導の東アジア共同体構築路線
石垣泰司
東海大学
1月14日、15日にフィリピン・セブ島で開催された「ASEAN+3首脳会議」、「東アジア・サミット」の両サミットについて、東アジア共同体評議会は1月30日、第19回政策本会議を開催し、そこに外務省の渥美南部アジア部長と相川地域政策課長を招いて、ブリーフィングを受けた。私も議員の一人として参加の機会を得たが、大変参考となった。その際得られた情報等をも踏まえて、両サミットについて私の感想を3点ほど述べてみたい。
1.「ASEAN+3首脳会議」と「東アジア・サミット」の相互関係
「ASEAN+3首脳会議」(APT)と「東アジア・サミット」(EAS)は、両者の関係が不分明なまま併走状態を続けている。今回発出されたAPT議長声明を見ると、APTは「長期的な東アジア共同体構築目標実現」のための "the main vehicle”であることが再確認(第2項)され、さらに "essential part of the evolving regional architecture”(第18項)であるとされている。これに対しEASは、その重要性(a significant role, an important component)は認められているものの、共同体建設における役割は、ARF、APECを含む他の多数の既存地域メカニズムと同様に補完的(complementary)である(第2回EAS議長声明第19項)とされている。このことを考えれば、東アジア共同体構築に向けての取り組みの中では、あくまでAPTが主たる役割を果たし、EASは従なる対話フォーラムにすぎないとの位置づけが、ASEAN+3+3の16ヶ国間の共通認識となりつつあることがかなり鮮明になった。
しかも、ASEANが「中心になってdriving force の役割を果たす」(APT声明第17、2項、EAS声明第18項)ことが強調されるだけでなく、EASは「ASEANの国でASEAN首脳会議の折に開催する」という2005年12月の第1回EAS宣言の合意もそのままとなっている。今回右のような基本体制が改めて確認され、定着しはじめたとみるべきではないだろうか。両サミットのこのような基本的関係を大きく変えようといった議論はもはやほとんど聞かれなくなり、日本などがEASの場で提案された具体的諸会議の名称に「EAS」という冠を付して、EAS自体のプロジェクトたる性格をよりはっきり打ち出そうと努力したのに対しても、全く賛同が得られなかった。従って、「APTとEASの役割が逆転したかのようにみえた」とまではとてもいえないのはなかろうか。
2.中国、インド、豪州、ニュージーランドのパーフォーマンス
日本での報道等では日本のイニシャティブによる諸提案や「東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言」が報じられた程度で、日本以外の参加国の具体的動きについてはほとんど報道がなかったが、今回のブリーフィングとその後の質疑応答の中で、中国、インド、豪州の具体的動きについて有用な情報が得られた。それによれば、ニュージーランドの発言にはとくに注目すべき点はなかったが、中国、インド、豪州は、それぞれいくつかの具体的提案を行なうなど真摯に参加する姿勢をみせてはいるようで、いささか安堵した。
3.EASの具体的協力分野
APT傘下の具体的プロジェクトはすでに50近くにのぼっているのに対し、EASについては、以上のような状況下の制約もあり、加盟16カ国が参加して真に意味のある良いプロジェクトを探すことは容易なことではないと思われるが、日本のイニシァテイブで「東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言」が採択されたのをはじめ、ASEAN諸国側からもEAS枠内での優先的協力分野としてエネルギーに加え、教育、防災、鳥インフルエンザ、金融といった5分野が明確化されたことは大きな進展といって良く、評価したい。
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