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2007-02-22 00:00
アーミテージ・レポートの対中政策提案と日本外交
舛島 貞
大学助教授
リチャード・アーミテージとジョセフ・ナイの名を冠した "The U.S.-Japan Alliance: Getting Asia Right Through 2020"(Center for Strategic and International Studies, February 2007)を読んだ。このレポートは2月16日に発表され、日本でも話題になった。特に、28頁以降にある "Recommendation for Regional Politics" という部分で、日米同盟と中国の関係強化をうたっていることに注目が集まったようである。このレポートそれ自体は、日米同盟の強化と地域の安定を目指したもので、大枠として2000年10月のアーミテージ・レポートと方向を同じくする。しかし、確かに中国認識は大きく異なり、台湾に対しても直接的な交流をふくめ両岸関係の強化を勧めている。
このレポートは、中国が東アジアのドミナントなリージョナル・パワーとなる可能性を認めた上で、日米および東アジアにとっての焦点は、中国がその軍事的、経済的パワーだけでなく、周辺諸地域と進めている戦略的な関係形成をどのように利用していくのかということだとする。東アジアにおける中国のプレゼンスを、いくつかの否定的な可能性も挙げつつ、比較的肯定的に描いているのである。確かに、中国はASEANとの関係だけでなく、上海協力機構などを通じて、ユーラシア諸国との関係も重視し、後者についてはすでに安全保障対話がおこなわれるに至っている。日本も橋本政権時代に中央アジア諸国との関係強化に乗り出そうとしたが、現在ではあまり聞かない。
日本の外交基軸は、日米同盟を強化しつつ、APECやASEANなどとの連携を深め、自由と民主主義などの理念を押し広げようとするものだ。この点、誰も反対しないだろうし、許容されるものと思われる。しかし、日本外交は東アジア国際政治のリアリティにキャッチアップできているであろうか。日米同盟と中国の関係について建設的かつ好意的な連携づくりをするようにアメリカから求められた場合、日本側にそれを柔軟に解釈するだけの用意があるであろうか。
こうした日本外交の根源に関わる問題は、当然東アジア共同体における日中関係、あるいは共同体構想をいかに捉えるかという点と関わらないわけにはいかない。中国と(相当の留保をつけながらも)協調して地域秩序の形成に積極的に関わるには、何ができるであろうか。温家宝総理訪日を前に、アメリカから大きな宿題を投げられたということになろう。
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