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2017-07-20 00:00
(連載1)保守、中道の二大政党化の可能性
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
日本で衆議院で小選挙区制が導入されたのは、1990年代半ばに高まった「政治改革」の大合唱によるものであった。94年1月、非自民の細川連立政権のもとで、衆議院の選挙区制度を小選挙区・比例代表並立制に「改革」する法案が成立した。「世界」は小選挙区制で、政権交代ができるシステムだ、と声高々に叫ばれ、反対意見が潰されてしまった。そもそも世界の動向は、有権者の意見を反映するためにむしろ比例代表制に移っていた。先進国で小選挙区制を導入しているのはアメリカ、イギリス、カナダ、フランス(小選挙区制と比例代表制の併用)くらいで、ヨーロッパのほとんどの国は比例代表制であった。
そして比例代表制の国でも政権交代は起きており、政権交代のためには小選挙区制しかない、という主張は滑稽な感さえあった。私はスウェーデンに留学していたが、そこは完全な比例代表制。完全比例代表制だからこそ、選挙での争点は政策であり、国民は政治に対する高い関心を持ち、高い投票率が実現していた。資本主義的政党グループと社会民主主義的政党グループが政権交代を行っていた。
1990年代の日本で政治改革が関心を高めるのは当然であった。88年のリクルート事件を発端する数々の政治腐敗が話題にのぼり、改革を求める国民の声があった。長い自民党政治からの変化を求める声もあった。しかし分からなかったのは、政治改革=小選挙区制導入という単純な方程式であった。小選挙区制に反対する人は、政治改革に後ろ向きということでバッシングにあった。異常な雰囲気であった。皮肉なことに、小選挙区制導入を進めた小沢一郎氏らを中心とした人たちは今では、小選挙区制の弊害をまともに受ける小党に属して、中選挙区制や比例代表制への転換を訴えている。
とはいえ、今となってはこの小選挙区制をベースにした仕組みを変えることは難しい。このシステムの中での政局の展開を考えるしかない状態だ。このシステムの中では、やはり二大政党化が促進されることになる。自民党と民進党(民主党)との二大政党化が進むものと思われたが、ここに来て、民進党(民主党)が急落しつつある。自民党にそれほど支持があるわけではなくても、民進党(民主党)はそれ以上に支持を失い、結局、国政選挙では自民の一人勝ちが続いた。(つづく)
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