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2017-07-01 00:00
(連載1)疑問のムーディーズによるAIIB債の“格上げ”
倉西 雅子
政治学者
AIIBは、その不透明な運営と信用性の欠如から、これまで、何れの格付け会社からも格付けを得ることができず、AIIB債が発行できない状態が続いていました。ところが、今般、突然に、米大手のムーディーズが最高ランクの“トリプルA”に格付けしたことから、ようやくAIIBも外部資金の調達に漕ぎ着けたとの観測も流れています。しかしながら、同社の最上位格付け付与については、既に疑問の声が上がっています。
第1の疑問点は、既に新聞紙上などで指摘されているように、中国関連の債権に対するムーディーズの矛盾した評価です。今年5月に、同社は、中国国債の評価を格下げしており、この評価に基づけば、中国が最大の出資国であるAIIB債の評価もまた、中国国債と同レベルとなるはずです。
第2に、ムーディーズは、ポリティカル・リスクを全く評価に加算していない点です。AIIBは、加盟国の数こそアジア開発銀行を上回り、ユーラシア大陸をも越えた大所帯を形成していますが、それ故に、深刻な対立を抱える諸国も抱え込んでいます。
当の中国は、南シナ海のみならず、カシミール問題をめぐりインドとの関係も悪化しており、AIIBにおける中国のパキスタンへの肩入れを考慮すれば、AIIB内部において加盟国間対立が表面化するシナリオも想定されます。インフラ関連事業は、“政治案件”が多いのですから、インフラ関連債については、ポリティカル・リスクを無視した評価は信頼性に乏しいと言わざるを得ません。(つづく)
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