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2017-06-23 00:00
「日中韓三国経済シンポジウム」を傍聴して
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
6月22日に、日本国際フォーラムと日中韓三国協力事務局の共催、東アジア共同体評議会の後援で、「日中韓三国経済シンポジウム」が開催された。国際情勢ただならぬ時期にこうした会議が開かれ、東アジアの主要国が意見交換を行うことは、意義のあることである。傍聴しての感想を次のとおり述べたい。
会議で出た発言で、小生の頭に残ったのは、「米のある学者が、中国経済は破綻すると毎年述べている。その都度そのデッドラインを変えて」である。これは、参加している日本人の発言であったが、笑いを取り、中国経済の進展を称えるというものだ。こうした発言を聞くたびに、自分も昔はこうした態度だったと思うのだ。対中国で仕事をする場合は、気恥ずかしくても、ほめ殺しが一番なのだ。そもそも、反対意見を述べれば何を仕返しされるか分からないからだ。私の知り合いの米国人学者が新疆地区のイスラムを擁護する発言をしたら、その後、中国入国ビザが出なくなり、彼の研究は頓挫した。中国からのパネリストには、俊秀の張琦女史(中国国務院発展研究所対外経済研究部副部長)がソフトトーンで話された。こうした時、いつも感じるのは、在京大使館員が多数いる中で、その発言は、極めて気を遣うのであろうなということだ。政府の方向に逆らったと認定されれば、その人間の運命は厳しいものになる。勿論、経済がテーマなので、北朝鮮問題など出てこなかったが、実際には参加者の頭には重くのしかかっていたはずだ。現在の中国は、明らかに北の核が韓国、日本へ落ちても、自国には来ないと確信しているようだ。
参加者には、米国人がおらず、欧州の外交官などが目立った。彼らにとり最近のトランプ米大統領政権の内容や李克強中国首相の欧州訪問は、中国との経済面での連携強化の絶好のチャンスと考えているのかもしれない。THAADは米国が中韓の離間を図り、米国における韓国の最近の中国寄り姿勢への批判に対しては日本がやっているととらえる議論が、中国および韓国で聞かれる。そして、中国、韓国で最近目立つ議論は、米国そして日本は落ち目で、一方の中国は昇竜の勢いがあるというものだ。勿論、韓国にはどっちつかずの、米に見捨てられては困るとの議論もあるのだが。この5月に中国商務部(日本の省にあたる)が発表した報告書では、米中関係は世界最大の途上国と先進国との関係だとぬけぬけと述べている。だから、諸問題も大目に見よというのだ。こうした甘えがいつまでも通るのだろうか?そもそも政治は専制政治、経済は市場経済という、特殊な体形がいつまでも保持出来るかだ。
シンポジウムでは、中国経済は投資主導からイノベーション主導へ転換してゆくとの発言があった。自由な発想が制限される社会で真の「創造力」が出てくるのだろうか?様々な手段で先進国の技術、ノウハウを盗みまくっている中で、限度があると考えるのが妥当だろう。中韓FTAについては、そのレベルの低さに韓国経済界から落胆の声が出ているのだ。「一帯一路」について、インドのみが、unhappyだとの発言もあったが、韓国でも直前まで招待状が来ない、あれだけ色々協力をしてきたのにとの不満の声があるのだ。中国の相手が弱いと見るや強引なやり方をする態度は、大いなる懸念材料だ。最近、中国は、日本へ微笑外交を始めたとほくそ笑んでいる向きは大いに気を引き締めるべきだ。
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