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2017-06-08 00:00
(連載2)パリ協定から離脱するアメリカと悪乗りする中国
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
実際データで見ても、中国は2030年にGDPあたりの排出量を2005年から60%削減するとの目標をパリ協定の枠組みの中で掲げていますが、2005年の実績が2.68kgCO2/$でこれを2030年に60%削減しても1.00kgCO2/$です。これは、日本(0.24)、フランス(0.27)、ドイツ(0.41)、イギリス(0.33)、アメリカ(0.53)などの国々の2005年の数値にすら遠く及ばないもので、ほぼ何もしないと言っているに等しい。
産業構造の違いがありますから単純比較はできませんが、基本的には現時点でのベストの技術を導入するだけで、少なくとも0.50kgCO2/$程度には抑制できるはずで、今後の技術革新の余地を考えれば、削減への強い意志を感じられるものではありません。新興国ということで総量規制を逃れるだけならまだしも、中国に関しては原単位ベースの目標もあまりにも貧弱です。その程度のことしかコミットできない中国が、その交渉で勝ち取った緩い目標を維持しようとして、正義の味方のような顔をして「パリ協定・地球全体の環境政策の流れをリードする」などと主張しているのは、詐欺、欺瞞でありちゃんちゃらおかしいいと言わざるを得ません。そのようなことを言うのであれば、新興国にあっても先進国並みの目標を設定し、実効性をもった義務化を行ってからにしてほしい、というのが長年気候変動の問題に真剣に取り組んできた者の目からすれば正直なところです。
アメリカの離脱は気候変動の対策上非常に失望させられる結果ですが、中国にこのような詭弁を許してしまい下手をすれば影響力まで持たせかねないという点においても愚策と言わざるを得ません。いずれにしても、現在の経済の実態から、中国・アメリカという二大排出国が地球全体の今後のカギを握っている事実に変わりはありませんし、この両国を巻き込む努力を続けていかねばならないのもまた現実の要請です。
日本は、京都議定書、洞爺湖サミットと、福島第一原発の事故の前までは世界の議論をリードする環境先進国であったわけで、今後は一層大きな役割を果たしていかねばなりません。欧州諸国やイギリス等と連携して世界の気候変動への具体的な対応を進める流れを止めずに進めていくことが必要です。同時に石炭発電の問題も含めて、日本の国内にも世界の潮流に反する動きがあります。将来に責任を持つ政治家として日本の政府が正しい決断を下せるよう引き続き全力で頑張ってまいります。(おわり)
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