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2017-05-26 00:00
報道の自由と対決するトランプ大統領
川上 高司
拓殖大学教授
5月10日、ロシアのラブロフ外相はホワイトハウスを訪問し、トランプ大統領と公式会談を持った。ラブロフがホワイトハウスを訪れるのは実に4年ぶりである。会談より先にトランプ大統領はコーミーFBI長官の解任を発表した。解任を知っていたのか知らないのか、ラブロフ外相は会談の席で驚いていたというが会談に合わせて解任したのかと勘ぐられても仕方ないタイミングだった。
コーミー長官はロシアが昨年の大統領選挙に干渉してトランプ有利に導いたのではないかという疑惑を調査していたのである。コーミーの解任がプーチンの意向であった可能性を否定できない。今回の会談ではラブロフ外相は大満足だったようだ。前任のオバマ大統領は理想がちだったがその点、トランプ大統領はオバマほど理想主義ではないので話やすいというのだ。トランプ大統領が就任以来、険悪だった米露関係が改善しつつあるのは間違いない。
なにしろロシアは特別扱いである。会談ではアメリカのメディアは一切排除され写真撮影すらできなかった。その一方でラブロフ外相は外相付のカメラマンを同伴させていた。このカメラマンが実はロシアのタス通信の記者だった。そのためタス通信はいち早く会談時の写真を報道した。アメリカのメデイアは報道ができなかった一方で、ロシアのタス通信は何ら規制をうけなかった。その写真は、満面の笑みをたたえたトランプ大統領とラブロフ外相が並んで立っている写真だった。
ホワイトハウスは、外相が同伴したカメラマンがメディア関係者だっと知らなかったと釈明したが、問題はそこではない。アメリカのメディアが大統領から規制を受ける一方でロシア側は自由に取材できるという点にアメリカのメデイアは危機感を持っている。報道の自由こそが権力を監視し民主主義の砦であるとするならば、それにトランプは真っ向から対決しようとしている。今回の写真報道の波紋は決して小さくない。
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