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2017-05-23 00:00
憲法9条3項「改正私案」提言
加藤 成一
元弁護士
安倍自民党総裁は、5月3日改憲派による憲法記念日集会へのビデオメッセージで、憲法9条1項2項を残し、これに加えて、3項として自衛隊の存在を明記する憲法9条改正案を提言した。その理由は、「自衛隊は違憲かも知れないけれども、何かあれば命を張って守ってくれと言うのは、余りにも無責任だ」というものである。
確かに、憲法9条1項2項の条文のみを文字通り読めば、自衛隊は戦力であり憲法違反とも解釈できよう。現に多くの憲法学者は今も自衛隊は憲法違反と解釈している。共産党など一部の野党も同じ主張をしている。このような解釈や主張がされるのは、憲法9条が「戦力不保持」を明記しているからである。しかし、米軍の占領下で制定された現行憲法には、国の存立と国民の生命にかかわる安全保障の観点が欠落している。その象徴が憲法9条であると言えよう。
そのため、自衛隊についての規定がなく、国の安全保障を否定ないし軽視するかのごとき憲法9条を、解釈だけで運用することには限界がある。これまで、いかなる世論調査でも、党派を超えて全国民の80~90パーセントが、日本の防衛と災害救助活動など、その役割を高く評価している自衛隊について、憲法上明確に規定し、憲法解釈上の疑義をなくすことは必要であろう。
筆者は、憲法9条3項「改正私案」として、端的に、「日本国民は、日本国の防衛と国際貢献のために、内閣総理大臣が指揮監督する自衛隊を保持する。自衛隊の組織、運用等に関する事項は、法律で定める。」を提言したい。今回の安倍総裁の提言に対し、民進党や共産党など一部の野党は、「安倍首相による、安倍首相のための、憲法改悪には絶対反対だ」(蓮舫民進党代表)などと、批判している。しかし、1954年の創設から63年間にわたって存在し、多数の国民から圧倒的に支持され、その役割が高く評価されている自衛隊を憲法上明記することについても、民進党は一切不必要であると考えているのであろうか。自衛隊を憲法上明確に位置付けることは、日本の安全保障上もきわめて重要である、と言えよう。
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