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2017-05-19 00:00
朝日と民共の「加計疑惑」は空鉄砲に終わる
杉浦 正章
政治評論家
朝日新聞が勝手に作った「加計疑惑」は、読んでいる方が恥ずかしくなるような根拠レスなセンセーショナリズムに満ちあふれている。政府内部の政策調整で「総理の意向」と使われた言葉を、まるで「首相の犯罪」と言わんばかりにおどろおどろしく紙面構成している。長期政権でその力をまざまざと感じている官僚たちは、勝手に水戸黄門の印籠よろしく「総理の意向」を振りかざして、他省庁をひざまづかせる傾向がある。しょっちゅうやっている事なのだ。もちろん違法性などはゼロである。おまけに官房長官・菅義偉が「怪文書」呼ばわりしているように、悪名高き「天下り文科省」の備忘録のような脈絡のない文書だ。蓮舫は鬼の首でも取ったかのように「究極の忖度(そんたく)があったと聞いている。内閣総辞職に値する」と息巻いているが、偽メール事件で民主党執行部が総退陣に追い込まれたことを忘れたかと言いたい。文書は偽ではないとみられるが、その虚偽性には共通項がある。根も葉もない“疑惑”追及は、必ずブーメラン返しにあう。おそらく追及は空鉄砲に終わるだろう。
それにこの加計学園問題は既に3月に国会で取り上げられ、首相安倍晋三は「もし私が働き掛けて決めたならば責任を取る」と究極の否定をしている。福島瑞穂に「安倍政権のイメージを落とそう、安倍晋三をおとしめようと質問するのは、やめた方がいい」と、色をなして反論した。この発言でけりが付いているにもかかわらず、朝日はぶり返した。その内容は、加計学園が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと内閣府から文科省が言われたというもの。民共はこの記事に飛びつき、例によって「朝日+民共」による追及の構図が出来上がった。昔社会党が強かったころは、独自の調査によって自民党政権の虚を突いたが、今は朝日の記事を見て追及するというだらしのなさだ。
記録文書はおそらく本物の備忘録であろう。文科省の幹部間で共有されていたたものだが、リークの背景を推定すれば、天下り問題でマスコミから完膚なきまでに叩かれ、組織がガタガタになった文科省の実態がある。それに加えて、内閣府から加計学園問題で主導権を奪われ、獣医学部の今治市誘致が実現することになった。おそらく人事で左遷されそうな幹部が、安倍を逆恨みして、破れかぶれのリークをしたのではないかとさえ思われる。朝日の追及の根底には、安倍が加計学園理事長加計孝太郎とロサンゼルス留学中から40年来の付き合いであることから、「怪しい」という邪推があるように思える。しかし、首相たるものは、人脈の形勢によって成り立っている側面があり、その幅が広いほど安定政権となる傾向がある。新聞の首相動静を見るがよい。まさに人脈のるつぼの中心に首相がいることが分かる。しかし、その人脈といちいち怪しげな関係を持っていたら、首相職はとても持たない。すぐに潰れる。朝日の“読み”は甘いのだ。
加えて、朝日の示唆しようとしている核心は、国家戦略特区の推進がらみで安倍が家計学園の頼みを聞いて、今治市に設置するように動いたという疑惑であろう。しかし、国家戦略特区はアベノミクスの柱であり、安倍が特区を推進したのは、加計との癒着があるからではあるまい。全く逆だ。推進した特区の中に今治と加計が存在したのだ。おりからアベノミクスは社共の反対と、マスコミの懐疑論にもかかわらず、GDPの年率2.2%増の長期間成長を達成した。2006年以来の快挙だ。有効求人倍率は東京で2倍であり、銀座を歩けば世の中は「平成元禄」の様相だ。まさにアベノミクスの推進という大局観がそこにあり、加計の新学部などは、安倍の眼中にはない。安倍が全国に散らばる戦略特区推進にハッパを掛けたからといて、民共は「ハッパ罪」で追及出来るのだろうか。例えば、民主党最高顧問江田五月と加計孝太郎の写真がネットに出回っているが、蓮舫はそれだけで江田を追及するのだろうか。官房長官・菅義偉は5月18日「国家戦略特区は、何年も手がつけられなかった規制の岩盤にドリルで風穴を開ける制度だ。獣医学部の新設も、長年実現できなかった。まさに岩盤規制だ」と述べた。1975年から15回申請しても文科省が却下していた学部新設が実現できたのは、特区推進のたまものであり、さらさら左翼から疑惑の焦点とされる類いのものではない。繰り返すが、家計問題の構図は金銭の授受など贈収賄めいた事実は全くなく、そこに存在するのは、文科省の逆恨みだけということだ。矜持(きょうじ)あるマスコミなら、狂ったように紙面トップで報道する類いのものではない。
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