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2017-05-12 00:00
「『最近の歴史認識問題について』を読んで」への回答
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
5月11日付の本欄への橋本宏氏の「『最近の歴史認識問題について』を読んで」にて言及されていた橋本大使からのご質問について、小生の考えるところをまとめてみました。橋本様の取り組んでおられる沖縄の問題は深刻なようですね。ひとつには、沖縄社会が一周遅れの左翼陣営大張り切りの時代、かつての「安保反対」「岸を倒せ」と知識人の上も下も叫んでいた時代に似ています。
ここでは、私の専門の中国に絞り話を進めます。日中の歴史問題は、学術研究の分野、ナショナリステック国民世論の分野、そして政治外交の分野に大きく分けることが出来ると思います。これらの要素が複雑に絡み合っているのです。この3分野の中で比較的冷静に対話できそうな学術研究分野を見ても、日本側は文献の忠実な検証、問題発生の事実、その展開のきめ細かい追及、一方中国側は、問題の本質を重視し、時には、被害事実の背後にある深い悲しみを考慮せよとの神がかり的な発言が学者からも出てくる塩梅なのです。
知人の中国人に指摘されたことですが、日本で評判の私も愛読した司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」について、明治の輝かしい日本人の活躍はともかく、この「日露戦争」の主戦場は中国で、土地も人もどれだけ多くの災禍を経験したか考えてくれと言われたことがあります。私自身の鈍感さを反省した覚えがあります。思うに歴史認識問題解消には長い時間、50年、100年とかかるものと覚悟しなくてはなりません。いかなる大学者や大政治家が登場して一時期の解決を図ってもそれが持続するとは限りません。
橋本さんの文章にもある「お互いの認識や理解が異なる背景を分かろうとする意欲やエネルギーを示す姿勢」が大事です。すなわち、agree to disagree、双方の差異を冷静に見極めてゆく根気強い作業が必要です。わが日本人は、「すっきり」が好きです。しかし、現実世界は複雑な諸要素の絡み合いです。それに耐え、重荷を背負って生きて行くしかないのではと思います。
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