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2017-04-26 00:00
(連載2)アメリカは北朝鮮にどのように攻撃するのか
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
北朝鮮はこうした軍事大国と比較すると、まだまだ技術の発展途上国だ。移動式ミサイルシステムもあるにせよ、近距離ミサイルだけが可能だ。ソウルまでは届いても、日本までは届かないだろう。SLBMは実験していても、まだ実践的に配備の状況ではない。アメリカが本気で北朝鮮の全軍事基地を攻撃するなら、ほとんどのミサイルや爆撃機を破壊することができるだろう。これによって報復のリスクは最小限に抑えることができる。といっても、移動型近距離ミサイルは残る可能性はあるし、他にも隠されたミサイルがあるかもしれない。戦力が0になる保証はない。この場合にはソウルはかなり深刻な被害を想定しなければならないだろう。
金正恩氏の殺害もどこまで確実にできるかわからない。影武者の噂も常にある。もっと言えば影武者が生き残っただけでも当分は報復ができる可能性はあるのだ。ソウルが火の海になれば、日本への大量の難民も現実的な問題になる。1~2万人という単位ではなく、百万単位になる可能性がある。そうした緊急時の対応が果たして日本はできるのかどうか。アメリカは中国が北朝鮮への武力行使で反米にならないように様々な手を打っている。ソウル時事(4月16日付)によると、「米ホワイトハウス当局者は16日、ペンス副大統領の同行記者団に対し、在韓米軍への最新鋭迎撃システム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』配備について、『(韓国が)5月初めに大統領を選ぶまで流動的だ。次期大統領が判断すべきだ』と述べ、配備完了の先送りを示唆した」と伝えている。
これはアメリカがTHAAD配備を諦めたということではなく、中国が北朝鮮をコントロールできるのか、という圧力をかけているにすぎない。つまり、北朝鮮が中国の要求によって核兵器開発やミサイル発射などによる挑発をやめるなら、THAAD配備を取りやめる、あるいは延期するという条件付きの妥協案だ。逆に言えば、北朝鮮が挑発を続けるなら、責任の少なくとも一部は中国にあり、アメリカは堂々とTHAAD配備をするという姿勢を示している。これまでの経過をみると、北朝鮮が中国の指示で核実験やミサイル発射をやめる可能性はほとんどない。アメリカは条件をつけての案を出したわけで、この場合には責任を中国に押し付けてTHAAD配備、さらには北朝鮮攻撃ができることになる。中国に配慮と見せかけて中国が文句を言えない状況に追いやっている。
ここまでトランプ大統領はかなりの脅しを北朝鮮にかけてきた。北朝鮮がそれを無視して挑発を続けるなら、何もしないということはないだろう。斬首作戦と基地総破壊戦略の可能性は否定できない。その攻撃を免れた北朝鮮のミサイルがどれだけあるか。その数によっては東アジアは大混乱に陥りかねない。(おわり)
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