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2017-04-06 00:00
(連載1)株式会社の弱さでトランプ対外強硬策へ
田村 秀男
ジャーナリスト
トランプ米政権は対議会工作を最優先していた医療保険制度改革(オバマケア)代替法案が撤回を余儀なくされ、出だしから躓いた。与党の共和党が割れたためだが、トランプ政策の目玉である法人税減税やインフラ投資についても議会での承認が危ぶまれている。となると、トランプ氏は対外通商政策に前のめりにならざるをえない。最大の貿易赤字相手国で貿易障壁が張り巡らされた中国を標的にするのは当然だが、市場が自由で開かれた日本までが巻き添えにされるのは勘弁してほしいところだ。そもそもトランプ氏の経済政策(トランポノミクス)とは何か。
トランポノミクスは大統領選期間中から掲げてきた「米国第一」を実現するためだと、一般的に解釈されている。国内需要を拡大し、貿易赤字を減らし、企業の国内投資を後押しして雇用を増進する。確かに経済シナリオとしてはわかりやすいのだが、よくよく考えると矛盾に満ちている。
貿易赤字を減らすために、国境調整税や貿易相手国に制裁関税をかける保護貿易主義手段をとれば、ドル高になって逆効果になる恐れがある。インフラ投資や法人税減税で財政収支は悪化する懸念が生じると、金利が上昇し、企業の投資意欲を削ぐ。共和党を含め、議会から異論が続出するのは当然なのだ。それでも、トランプ氏が上記の考え方を掲げて、大統領選に勝利した時代的意味を無視できない。従来の政策継続をうたう民主党のヒラリー・クリントン候補には、エスタブリッシュメントからの支持は弱々しかった。
1990年代からの米国株式会社の株主資本利益率(ROE)の推移を追ってみる。株主資本とは、企業の総資産から負債を差し引いたもので、会社は株主のものという考え方からして、そう呼ばれる。その株主に帰属する資本がどれだけ収益を挙げているかがROEであり、低いと経営者は株主から失格の烙印を押される。それが米国型資本主義というもので、日本も2000年代に入って官民が制度化した。それが日本の企業風土に合うとは限らないのだが、本題から外れるので、別途論じよう。(つづく)
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