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2017-03-22 00:00
小池は豊洲移転を早期に決断せよ
杉浦 正章
政治評論家
まさに「大山鳴動して小池一匹」の様相だ。大局が分からない都議会野党と都庁詰めメディアが重箱の隅を突っついているから事態は混迷する。大騒ぎしている築地市場の移転問題は、政治的には全て小池百合子の「延期ごり押し」に起因すると考えればよい。議会にも諮らない独断政治の失敗だ。ここにきて小池は新聞から社説で、早期決断を迫られている。しかし、読売も毎日も社説では、どちらを選択すべきかは明言しないという無責任さだ。筆者は、豊洲移転しか方策は無いと思う。石原慎太郎には様々な問題があるが、百条委員会における証言を詳細に分析する限り、石原が正しい。物事を政局がらみで判断する小池には、決着を都議選まで引き延ばして自らの候補を有利にしようという邪心すら垣間見える。さらに数ヶ月にわたる血税垂れ流し路線だ。小池ポピュリズムは行き詰まった。一刻も早く豊洲移転に踏み切るべきだ。
移転問題で小池が置かれた立場は、一見自民党を攻めているように見えるが、逆だ。政治的には「進むも地獄、退くも地獄」の事態に直面している。なぜかといえば、豊洲移転へと「進む」場合は、なんで決断を延期したかの責任を問われるからだ。おまけに延期で獲得した都民の支持を大きく損なう。延期のために都民の血税を膨大に垂れ流しした責任も当然問われる。逆に築地再構築に「退く」場合には、豊洲建設にかかった6000億円もの費用が水疱と帰することに加えて、築地の更地化と建設にかかる費用は6000億円を大幅に上回るだろう。1兆円を優に超える血税を都民に回してよいのか。当選以来「都民ファースト」という衆愚政治を展開してきたツケが眼前にあるのだ。豊洲市場は6000億円をかけて完成した。業者は冷蔵庫や、設備費に既に300億円を投入している。小池の延期により、今後都は業者への補償費として50億円が必要である。加えて建物の警備管理費として1日500万円が毎日すっ飛んでゆく。当面は独立採算の市場会計から支払うが、長引けば都民の血税の垂れ流しとなるのは火を見るより明らかである。
石原が「何で民事訴訟が起きないのか不思議だ」と述べるのは、もっともだ。一方で築地の場合は、開放型の市場であり、大きなドブネズミが夜な夜な出没しているばかりではなく、カラスやスズメなど野鳥がフンをするは、建物が老朽化して、放置すればアスベストがむき出しになるは、の状況だ。大地震でも致命的な大打撃を被る恐れが濃厚だ。3階建て以上の建物16棟のうち6棟が強度不足で倒れるとみられている。こうした事態を背景にして、百条委では石原が、地上と地下を分離して考えるとの立場を表明した。「小池都知事は安心と安全がこんがらがっている。地下水を地上で使うわけがない。東京の水道は世界最高の水であり、小池知事の主張は風評の前に科学の真実が負ける印象だ」と食いついたのだ。確かに小池は築地について「築地はコンクリートやアスファルトに覆われているから安全だ」と致命的な無知をさらけ出している。言うまでもなく豊洲もコンクリートとアスファルトで覆われている。まさに小池は築地と豊洲にダブルスタンダードを当てはめようとしているのであり、無理筋の話だ。
加えて築地にはコンクリートやアスファルトにひびが入り、じくじくと水分が表面に出でてきている箇所も多く、安全であるとは決して言えない。最近はヒ素まで検出されている。一方豊洲は近代的な強化コンクリートやアスファルトで30センチから50センチもの層があり、外に有害物質が出ようにも出られない構造である。それでも心配なら現代科学を駆使してさらなる封じ込め策を講じればよい。おまけに小池は「安心」というきわめて人間的な判断基準を錦の御旗に立てているが、これは確かに科学的ではない。そこいらのザーマス夫人が喜びそうな基準だが、これを基準にする限り、小池は独善的な都政運営から脱却は出来ない。都の方針では汚染された地下水は濾過して海に流すのであり、飲んだり、魚の洗浄に使うのは、石原のいうように世界で最もきれいな水道水なのである。専門家会議座長の平田健正が、地下水の汚染について「去年の4月以降に地下水をくみ取るシステムが動き出したため、汚染が出てきたのだろう。法的、科学的には安全基準を満たしている」と述べているが、この発言が一番信用できる。汚染が新たに出てきたのなら、やがては消える事もありうる。
こうみてくると、結局豊洲しかあり得ない。石原に軍配が上がる。小池はまたまたポピュリズムにすがるしかない姿を露呈した。都議会を自派に有利な構造にして、国政進出を狙うその姿は、都民の血税などはどうでもよく、政策そっちのけで、ひたすら自らの野望を達成するための政治に専念する姿を鮮明にさせている。決断を7月の都議選以降にして、小池が擁立する候補を有利にさせようとしているとの見方があるが、これこそ究極のポピュリズムであり、唾棄すべきことでなくて何であろうか。また小池周辺が住民投票による決着を画策しているという説がある。この場合の住民投票は、知事が自らの責任を放棄して、責任を都民に転嫁する政治だ。これこそ“衆愚”に頼る小池政治の姿そのものだ。小池ポピュリズム対策としては、地下水汚濁の封じ込めを現代科学を駆使して徹底的に推進すればよい。豊洲の地上の洗浄水などを常時モニタリング調査して、数値に異常があればサイレンを鳴らすような措置を取ればよい。それでもザーマス奥さんが「嫌だ」というなら、豊洲のおサカナをお買い上げにならなければよい。庶民は安くなって助かる。繰り返すが小池は豊洲を早期に決断すべきだ。
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