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2017-03-11 00:00
(連載2)朝鮮半島の覇権を争う中国とアメリカ
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
このかつてない朝鮮半島の混乱状況に、アメリカと中国の覇権争いが勃発している。これまでにも北朝鮮の指導者への暗殺計画は報道されてきた。金正恩氏の暗殺計画も話題にはなっても真偽はよくわからない。中国主導かアメリカ主導か、ということだが、基本的にはどちらの国にとっても北朝鮮の混乱は望ましいものではないので、本気で実行されることはなかったということだろう。しかし、北朝鮮の度重なる挑発などで、状況は緊張を高めつつある。韓国が司令塔を欠き、アメリカと中国との狭間で方向を定めることができず、ふらふら揺れ動いていることも大きい。
THAAD配備ではアメリカ寄りのスタンスを見せながらも、反朴運動が高まる中で、ポスト朴政権は北・中国よりの政策を取るのではないかとみられている。北朝鮮による核兵器の脅威に対応するため、The Wall Street Journal(2017年3月2日付電子版)で、CAROL E. LEE 氏とALASTAIR GALE氏は、「トランプ米政権が武力行使や政権転覆などの選択肢を検討していること」を報じている。CIAによる金正恩暗殺、そしてクーデターによるアメリカ傀儡政権の樹立は想定可能なシナリオだ。そうなれば、朝鮮半島はアメリカの強い影響下に置かれることになる。同様に中国主導によるクーデター、そして中国傀儡政権の樹立のシナリオもあり得る。韓国は中国からの今以上の圧力がかかる可能性が高い。ポスト朴大統領の政権下では、中国が韓国も含めた朝鮮半島に強い影響力を持つ可能性もある。
こうした事態においては、韓国・北朝鮮は思いがけない「統一」もあるかもしれない。しかし、それは思い描いていた自立の統一朝鮮ではなく、アメリカ支配下の統一朝鮮か中国支配下の統一朝鮮のいずれかになる。そもそも、いずれのプロセスも、平和裏に行われるとは限らない。アメリカと中国という二つの経済・軍事大国が覇権を争うわけで、予想不能な混乱状況が起きる可能性の方が高い。それにプーチン・ロシアも絡んでくるのは当然だ。何が起こるかシュミレーションも困難だ。韓国、北朝鮮の幾つかの個別の不安定要素が、爆発的な混乱の引き金になるリスクがある。トランプのアメリカ、習近平の中国、プーチンのロシア、金正恩の北朝鮮、無指導者状態の韓国の構図は、極めて不確実な北東アジアを作っている。
妥協を嫌う戦う役者が勢ぞろいだ。たさらに言えば、安倍晋三の日本、蔡英文の台湾もこの状況をさらに不安定化させる可能性が高い。関わるアメリカ、中国、韓国、北朝鮮、日本、ロシア、台湾は、世界の経済力、軍事力で重要な地位を得ている。GDPの世界ランキングでは、アメリカが1位、中国が2位、日本が3位だ。核兵器保有国が、アメリカ、中国、北朝鮮、ロシアと4カ国もある。軍事費ランキング(2015年)では1位がアメリカ、2位が中国、5位がロシア、8位が日本、9位が韓国となっている。この地域の暴発は確実に世界を大混乱に陥れる。いかに冷静に安定した北東アジアを作っていくことができるか。大きな試練である。大局的な視点から、この地域の信頼醸成を築いていくことが重要だ。今は相当に危ない状態だ。
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