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2017-03-04 00:00
(連載2)虚妄の米ドル安路線 「貿易赤字削減」は偽情報だ
田村 秀男
ジャーナリスト
ドルは基軸通貨なので、世界のどの国の資産でも何の障害もなくドルに換算できる。半面、外国企業の在米資産はもちろんドルだ。ドル安にすればするほど、米国の海外資産から外国の対米資産を差し引いた米国の純負債は減る。歴代の米大統領はそんな基軸通貨の特権を活用する誘惑に駆られ、ドル安政策に踏み出した。米国が純債務国に転落しかけた1985年9月、「強いドル」を標榜していたはずのレーガン政権は日本、西ドイツなどを巻き込んでドル安誘導のためのプラザ合意を演出した。90年代前半のクリントン政権は「日本たたき」のため円高・ドル安誘導政策にのめり込んだ。2001年発足のジョージ・W・ブッシュ政権は住宅市場刺激策と合わせてドル安路線をとった。
だが、一本調子のドル安は恐るべき災厄を招く。1987年10月の史上最大規模のニューヨーク株価暴落、そしてリーマン・ショックが代表例だ。97年のアジア通貨危機はクリントン政権が95年にドル高路線に切り替えたのに、東南アジアや韓国が適応に失敗したからだ。
さしあたり、痛い目に遭わないとしても、債務国米国の金融界はドル安には不安を感じるはずだ。ニューヨーク・ウォール街は世界の投資家から資金を集めて国内に回すばかりでなく、世界に再配分して荒稼ぎする。海外の投資家はドル安で莫大な為替差損を被りかねないのだから、ワシントンがドル安容認路線をとるなら、対米投資に腰が引ける。顧客がそうならウォール街のためにもならない。
4月には、先の首脳会談で合意した包括的な日米経済対話が始まる。トランプ大統領は、選挙公約通りインフラ投資や大型減税に踏み切るためには、世界最大の純債権国日本からの投融資に頼らざるを得ない。したがって、円安批判を自粛するかもしれないが、まだまだ先は長い。上記の通り、ドル安の誘惑はトランプ氏にもつきまとう。安倍晋三政権はトランプ政権に対し、「弱いドル」は米貿易不均衡是正ばかりでなく「米国第一主義」を損なうと警告すべきだ。(おわり)
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