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2017-03-03 00:00
変化する日本の安全保障環境
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
トランプ政権発足以来、来日するアメリカの安全保障関係者と会議で議論する機会が増えました。アジアの不安を払拭するというアメリカ全体の戦略なのか、あるいは同盟国日本の本音を探ろうとしているのか、目的は明らかではありませんが、大企業のトップ、シンクタンク、連邦議員、など様々なレベルでの訪日のペースが増えている実感があります。日本が位置する北東アジアは、特に北朝鮮や中国の動向も軍備拡張や政治的不安定に向かう傾向があることから、アメリカの安全保障政策が特に注視される地域です。台湾やベトナムなどトランプ大統領選出以降、私が訪問した国々でも、それぞれの政府高官がアメリカの政策への高い関心を表明しています。TPPも単なる貿易協定という以上に対中国とのバランスの中での戦略的意味合いが極めて大きいものでした。
その一方、忘れがちではありますが、オバマ政権当時から、アメリカのアジアへの軍事的関与について長期的な視点からは懐疑的な見方が強まっていたのも事実です。確かにオバマ政権は、限られた対外関与の軍事力に関し、いわゆるアジアへのpivot/rebalanceを明確にしたことで、短期的中期的には不安が一定程度解消されていました。しかし、ティーパーティー運動が顕在化したころから、アメリカが内向きになってしまうのではないか、アメリカの対外関与政策への国民の支持が弱まり結果として、長期的には維持が難しいのではないかという見方が強まっていました。
実際、訪米した際にも、聖域とされてきた安全保障の関係でも、財政的な問題、国内の内向き志向が指摘されるケースが増えていた気がします。一方で、中国が急速に核兵器や通常兵器の近代化を進め、結果としてICBMに関してもDF41のようにアメリカとの軍事的バランスを大きく変え得るような技術革新、軍備増強がみられてきている状況が東アジアにはあります。数年以内に核の拡大抑止の実効性に疑問がもたれるような状況ともなりかねません。
中国に関しては、ASEANや台湾、インドやオーストラリアなど多くの国でその拡張・軍拡政策に警戒感が広がっています。同時にアメリカと日本の地域への強いコミットメントを期待する声が強まっているのも事実です。核の抑止の戦略的環境が変化しつつある状況下で、アジア全体への関与も含め、日本の安全保障戦略を冷徹に検証しなおし、現在の国際情勢に合った適切な戦略を進めていくことが求められます。
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