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2017-02-25 00:00
(連載1)金正男氏暗殺で問われる韓国の方向性
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
金正男氏の暗殺事件は衝撃的だった。金正男氏はこれまでにもメディアに何度も登場し、観光などを目的に日本に何度か不法入国していたといわれている。「東京ディズニーランド」にも出入りしていたと伝えられ、北朝鮮のイメージとのギャップもあり、特に日本人からすると不思議な親密感がある人物だった。これから真相や背景が徐々に明らかになるのだろう。多くの人がいて、監視カメラが多数据えられている国際空港での暗殺事件だ。秘密裏に暗殺することが困難だったのか、暗殺を急いでいたのか、むしろ暗殺のメッセージを世界に送りたかったのか。これらは解明の展開を待ちたい。問題はこの暗殺事件が東アジア情勢に与える影響だ。現在、日本、中国、韓国、北朝鮮が構成する東アジア情勢は荒れている。これにトランプのアメリカとプーチンのロシアが絡んでくるのだから、極めて複雑な状況である。
中国、北朝鮮、アメリカ、ロシアは核兵器を保有している。中国、日本、韓国、アメリカ、ロシアは世界経済に大きな影響を与える経済大国でもある。東アジアの展開は世界を揺るがすのだ。冷戦時代には、資本主義陣営のアメリカ・日本・韓国のブロックと社会主義陣営のソ連・中国・北朝鮮のブロックに分かれ、ある意味、わかりやすい構造であった。しかし今は極めて流動的な状況になっている。日本、中国、韓国、北朝鮮の4カ国の関係は現在、どこも敵対、あるいは冷えている状態であり、極めて不安定だ。そこにこの金正男氏の暗殺事件が起き、さらに流動的になっている。
まず、重要なのは中国と北朝鮮の関係だ。中国は北朝鮮の後ろ盾となってきたが、最近の金正恩最高指導者は中国の支配下に入りきらない行動をとるようで、関係はかなり冷えてきたといわれる。最近の北朝鮮の核実験やミサイル発射は、アメリカや韓国、日本を刺激して、米日韓の同盟を強めるというだけでなく、中国へ矛先が向けられるリスクも感じている。もちろん中国と北朝鮮は比較にならないほどの力の差がある。しかし、何をしでかすかわからない指導者が、北京や上海に届く核弾頭ミサイルを持つのは当然、避けたい事態だ。北朝鮮が中国戦略の支配下に入らないとなると、金正恩体制を変える必要が生じる。そのカードの一つが金正男氏であった。いざとなれば、金正恩氏を失脚させるか暗殺し、金正男氏を北朝鮮に送りこむことができる。中国にとってはより忠実な傀儡政権が必要なのである。
今回の金正男氏の暗殺は、このオプションを消すものだ。中国と金正男氏との関係の冷え込みを指摘し、中国は金正男氏を見切ったという人もいる。しかし、金正恩氏の後に中国がコントロールできるカードはあまりあるわけではない。金正男氏の存在は中国にとって重要であったはずだ。実際に今回も、金正男氏はクアラルンプールからマカオ行きの航空機に搭乗しようとしていた。中国への「帰国」前の暗殺だ。中国は現在、北朝鮮への批判のトーンは抑えているようにみられるが、これはむしろ「怖い」。本気で金正恩体制を崩壊させる動きにはいる可能性がある。トランプ大統領と安倍首相の会談などもあり、日米関係が強化される方向だ。これに韓国が加わり、米韓日の軍事同盟ができる前に、動きを加速し、北朝鮮を完全支配下に置く戦略は十分考えられる。(つづく)
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