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2017-02-17 00:00
(連載1)中国の環境規制厳格化に揺れる日系企業
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
中国の環境問題は深刻だ。PM2.5などによる大気汚染は深刻化し、土壌にも様々な化学物質が混ざり、川の水も地下水も汚れている。この状況を改善しようと今、中国では「グリーン革命」が進行している。「環境後進国の中国に何ができる?」と侮ってはならない。凄まじいスピードで環境基準の見直し、厳格な適用、処罰化が進んでいる。状況のあまりの急変に日系企業も当惑し、大きな不安を抱えるようになった。人間も気候が変われば体調を崩す。急激な生活環境の変化は病気を誘発する。同様なことは企業にも言える。社会環境・経営環境の急激な変化は、対応を間違えれば企業の弱体化を招き、ひいては経営不振・破綻に陥ることもありえる。そうならないためには、的確な現状把握と問題への適切な処方箋が必要だ。
名医はしっかりした検査、的確な診断、適切な処方箋を行う。名医は有名な病院の肩書き持つ医者のことだろうか。患者の希望通りに点滴をして、注射をして、効きそうな薬をたくさん出してくれる医者のことなのだろうか。人間は兎角「看板」を信じやすく、大きく有名な病院のドクターに間違いはないと信じやすい。多くの薬を出してくれ、一時的な症状の改善をもたらす医者は人気があるといわれる。しかし、本当の「名医」とは、患者の立ち居振る舞い、状態を通して病気の原因を突き止め、最も効果的な治療法と処方箋をかける人ではないだろうか。決して、沢山の無駄な薬を出してくれ安心だけくれる人ではないはずだ。一時的な症状の改善よりも、原因を解明し、長期的な視野にもたって治療をする人が名医のはずだ。
今、中国に進出している日本企業に必要なのは上記の様な「名医」ではないだろうかと思う。目先の利益だけをみて、大きなリスクを負わせたり、古い情報で現状に合わない対策を教えるコンサルなどが多いのが残念だ。以前、東証一部上場企業のA社の役員の方と話す機会を持った。私は昨年度より何度も提言している「日系企業の中国での環境違反事例」について持論を紹介した。このままでは日系企業の多くが中国の変化について行くことができず、事業の失敗ばかりか企業としてのコンプライアンスに大きな問題を抱えてしまうことになってしまうのではと言う危惧からである。この役員の方はご自身も中国赴任の経験があり、昨今の中国の環境対策の急変にも精通されていた為か私の意見に多く共感していただく事ができた。この企業は、中国に10社以上の関連企業を持ち、中国での事業が売り上げの大きな柱となっている。コンプライアンスの面からも今まさに大きな決断を迫られている企業とみて良いだろう。
そして先日、その役員の方からお電話を頂き、役員会にて以下の様な決定が下されたことを教えて頂いた。 「弊社は、2017年度に於いて中国の環境法規対策には予算の有無にかかわらず、関連会社全てが積極的に進めていくことになりました。やはり、この中国における環境汚染対策は避けて通ることができないばかりか、逆に積極対応することで中国政府へ良い印象を残すべきとの判断から役員会一致の決断となりました。」とのことであった。大変素晴らしい対応だと思う。以前より私は、「今こそ日系企業がそのアドバンテージとして積極的にアピールすべきことは、環境汚染に対する取り組みだ」と主張してきた。私も先ずは一安心と胸をなで下ろした気分だ。(つづく)
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